【新社長就任インタビュー】太子食品工業・工藤裕平社長 初年度は関東シェア拡大と新ブランド定着に注力、次世代プロテイン源で世界救う
工藤裕平副社長は6月19日付で新社長に就任した。就任した最大の理由は「当社の変化のスピードが、世の中の変化のスピードを上回らなくてはならない」という強い危機感からだという。
「昨今の技術進歩や価値観の変化は凄まじく、日本がもはや安泰な先進国ではないという現実をアジア諸国への出張で痛感している。社内外にアンテナを高く掲げ、時代の変化に先手を打てるような感度とスピード感を持って経営に活かしていくことが、私の使命だと心得ている」と述べる。
初年度は、成長の柱として「関東でのシェア拡大」と「新ブランドの定着」に注力する。首都圏の主要チェーンにおいて、全ての店舗で同社製品が配荷されることを目標に掲げる。新ブランド「motTOFU」では、「即食・簡便なプロテイン源」と再定義した豆腐バーシリーズを軸に、Z世代などの若年層や健康意識の高い新規顧客を獲得していく。
「世界的な人口増加に伴うたん白質危機や食糧問題が懸念される中、豆腐は持続可能な次世代のプロテイン源として極めて高い潜在価値を持つ。この社会課題の解決を、地方企業の責務を超えた『世界を救う』挑戦と位置づけている」と話す。
海外事業においては、2040年の海外事業100億円を目指し、欧州やアジアなど11の国と地域での商標出願や市場調査を加速させる。
物流面では、製造拠点を分散し、配送距離を短縮する「地産地消」を推進するとともに、製品のロングライフ化により配送効率を極限まで高めるとする。
原材料の安定確保にも努める。特定の産地に依存せず、国産大豆を含めた多産地化を図る「安定のためのポートフォリオ」を構築しているところだ。
エネルギーについては、重油、都市ガス、LNG、さらに木質チップボイラーなどを組み合わせ、特定のエネルギー源に依存しない体制を整えている。
〈おいしさを土台とした商品開発へ転換、27年度の売上高300億円達成を目指す〉
前社長から引き継いだナンバー1へのこだわりはそのままに、変化への対応スピードを劇的に向上させることを目指す。また、「これまでの健康の押し付けではなく、お客様が自然と手を伸ばしたくなるような、おいしさを土台とした商品開発への転換を図る」としている。
組織改革や人材育成の方針については、「自由と規律がある組織文化を育む」と話す。具体的には、会社を「プロの集まり」と定義し、ジグソーパズルの枠(定められた役割)を超えて成長できる環境を作るとしている。
ジョブローテーションにも力を入れ、若手社員には30歳までに部署異動を経験させ、多角的な視点を持たせることを目指す。
さらに、現場の声を重視し、「組織でフィルタリングされた情報ではなく、私自身が現場に足を運び、直接生の声を聴くことを徹底する」と述べる。
業界の発展に向けて期待することについては、「単なる伝統食の枠に留まるのではなく、『TOFU』を世界共通語として広め、ハラールやヴィーガン対応といった世界標準の認証を取り入れながら、グローバルな食の課題を解決する産業へと進化していくことを期待している」と述べた。
最後に、「『おいしさのふるさとは自然です』という不変の理念を胸に、大豆の可能性を科学的なアプローチで拡張し続け、27年度の売上高300億円達成を目指す。『大豆の力で世界を救う』という大きな夢に向かって、社員一丸となって挑戦していく」と抱負を語った。
〈大豆油糧日報2026年7月28日付〉







