日本茶の価値向上へ業界一丸でGI推進、抹茶ブームを持続的な成長に

日本茶の価値向上や安定供給について議論したパネルディスカッション
日本茶の価値向上や安定供給について議論したパネルディスカッション

日本茶GI推進委員会は10月21日、東京都千代田区で「日本茶の未来をつくる発表会」を開き、日本茶のブランド価値向上と輸出拡大に向けた取り組みを紹介した。世界的な抹茶ブームを背景に日本茶の輸出が急増するなか、生産者や茶商、飲料メーカーなどが業界の垣根を越えて連携。日本茶の品質と信頼を守りながら、生産基盤の強化と安定供給を目指す。全国を生産地とする初の地理的表示(GI)として今年7月に「日本茶」が登録され、10月16日時点でGIの利用申請は72件、対象商品は発売予定を含め約500品に上っている。

日本茶GIマークを表示した多彩な日本茶商品
日本茶GIマークを表示した多彩な日本茶商品

GI保護制度は、地域の自然や伝統的な製法などに由来する品質や評価を持つ農林水産物・食品の名称を知的財産として保護する制度。日本茶は7月10日、全国を生産地とする初のGI登録産品となった。8月27日には日本茶GI推進委員会が設立され、生産団体や茶商組合、飲料メーカーなどが連携して普及に取り組んでいる。発表会には藤木眞也農林水産副大臣も出席した。

日本茶の輸出は大幅に拡大している。発表会で示された日本貿易振興機構(JETRO)の資料によると、2025年の日本茶(緑茶)の輸出額は前年比約2倍の721億円となった。2026年1~8月も前年同期比約1.8倍の674億円に達し、前年1年間の輸出額に迫っている。一方、同期間の輸出量は前年同期比約1.03倍の7983トンで、金額の伸びが数量を大きく上回った。

海外では抹茶を中心に需要が広がっている。パネルディスカッションに登壇したJETRO農林水産食品部の飯島隆次長は、米国や英国などでの抹茶カフェの展開や、スーパーでの抹茶パウダー販売、菓子や飲料への利用など、海外市場の動きを紹介した。中国産抹茶が日本産を連想させるパッケージで販売されている事例も示した。

日本茶業中央会も外国産の「宇治抹茶」などによる知的財産の侵害をGI登録の背景に挙げている。抹茶人気を一過性のブームに終わらせないためにも、日本産茶の品質や産地を正しく伝え、海外での信頼を確保する必要がある。

国内の生産基盤にも課題がある。農林水産省の資料によると、茶の栽培面積は2008年の4万8000ヘクタールから2025年には3万3000ヘクタールに減少。生産量も同期間に9万6000トンから7万5000トンとなった。パネルディスカッションには同省の秋葉一彦生産振興審議官も参加。生産者の高齢化や担い手不足が課題となるなか、輸出需要の拡大に対応するため、機械化やスマート農業の導入、生産体制の整備などによる生産性向上の重要性が議論された。

こうしたなか、茶価の上昇は生産現場に新たな動きをもたらしている。静岡県農業経営士協会茶部会の原間秀樹部会長は発表会で、茶価が上がったことで機械を導入でき、将来を見据えた新たな設備投資に踏み出せたと説明した。

日本茶GI推進委員会の鈴木貞美委員長は、原料不足や価格上昇が進むなか、消費者に手頃な価格でお茶を届けるという供給責任を十分に果たせていないと指摘。日本茶の価格が高くなりすぎることは望んでいないとし、日常的に楽しめるお茶であることの大切さを訴えた。安定供給に向け、行政や生産者団体、茶業者、販売会社などが連携し、中長期的に生産基盤を強化していく必要性を強調した。

日本茶GI応援アンバサダーに就任した有村架純さん(右)と上川陽子会長
日本茶GI応援アンバサダーに就任した有村架純さん(右)と上川陽子会長

同委員会の上川陽子会長は、各産地が長い歴史のなかで特色ある茶づくりを続けてきたことに触れ、これまでの産地の努力が輸出拡大という形で実を結びつつあると説明。こうした動きを安定的、持続的なものにするためには、さまざまな課題を克服する必要があるとし、日本茶GIをオールジャパンで推進していく考えを示した。

日本茶GIの認知向上に向けては、俳優の有村架純さんが応援アンバサダーに就任。日本茶の魅力や茶文化を国内外に発信していく。

日本茶GIの普及に向けて連携する茶業関係者ら
日本茶GIの普及に向けて連携する茶業関係者ら

世界的な抹茶ブームを追い風に、業界の垣根を越えた連携によって日本茶の品質と信頼を守り、拡大する海外需要を安定供給と持続的な産業の成長につなげられるかが、今後の焦点となる。

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昭和26年(1951年)3月1日
発行:
昭和26年(1951年)3月1日
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