給食・外食・中食の店舗を対象とした健康な食事・食環境の認証制度「スマートミール」が4月からスタートした。

7つの学術団体(日本栄養改善学会、日本給食経営管理学会、日本高血圧学会、日本糖尿病学会、日本肥満学会、日本公衆衛生学会、健康経営研究会)からなる「健康な食事・食環境」コンソーシアムが審査・認証を行う。この制度の中核的存在である日本栄養改善学会の武見ゆかり理事長(女子栄養大学教授)に制度の目的や概要を伺った。
日本栄養改善学会・武見ゆかり理事長(女子栄養大学教授)

日本栄養改善学会・武見ゆかり理事長(女子栄養大学教授)

〈栄養バランスの良い食事の選択で健康寿命延伸〉
―認証制度の目的は

日本人の食の外部化が進んでいる。食品購入額の8割が加工食品であり、また中食・外食比率は4割と言われている。厚労省の国民健康調査によると、外食では野菜が少ないなど食事内容として問題も指摘されている。しかし、内食回帰ができるかと言えばできない。そこで、外食を利用している人やお弁当を買って食べている人が、自分の健康を考えた栄養バランスの良い食事を選びやすいよう、環境を整えることをめざし、認証制度を設けた。結果として、その人の健康に寄与し、健康寿命の延伸にもつながるだろう。検証しているわけではないので、できるだろう、に留まるが。

―スマートミールとはどういうものですか

スマートミールとは健康に資する要素を含むバランスの取れた食事の通称だ。給食・外食では定食などの1食分の献立、中食では弁当などが対象。デスクワークなどの人向けの「ちゃんと」(450~ 650kcal未満)と、エネルギー消費の多い人向けの「しっかり」(650~ 850kcal)の2パターンがある。それぞれ肉や野菜の量、塩分量を規定した。

そして、スマートミールを提供するお店を認証する。

―この基準をクリアする食事を3食摂るのは難しいのでは

3食は無理でも、継続的に食べることによって、野菜の量の感覚や塩分を少なくするための味付けなどが分かってくる。舌で味わって、おなかで覚える、いわば大人の生きた教材の役割を果たせるのではないか。実際、私たちが食べてきた食事は家庭での体験で身についたものだが、スマートミールを新しい習慣にしてもらいたい。

1食当たりの提供エネルギーと栄養

今回目指したいのは「健康な食事はおいしい」ということ。栄養価や塩分をクリアするだけでなく、各お店の工夫でおいしい食事を提供していただきたい。見た目も大切だ。

実は先行実施をしていただいたお店が何店かあり、そのうち外食店が東京・丸の内に和・洋・中の3店舗ある。高級店と言ってもいいところなので、おいしさにはこだわっている。スマートミールの栄養価をクリアするため、脂肪や塩分を減らしただけだと料理はおいしくない。彼らは、減らした分、何かを加える工夫をすることでおいしさにこだわっている。その点、管理栄養士・栄養士は弱いかなと感じた。

例えば、洋食のお店で提供しているスマートミールはハンバーグだ。通常、脂の多い部分を使うが、エネルギー量を減らすため、国産牛の外もも肉だけを使用している。中華のお店で提供しているスマートミールは麻婆豆腐セットだが、塩分を減らすために山椒をすごく効かせ、唐辛子の辛味を合わせて風味のある麻婆豆腐に仕上げている。

一方、和食店のスマートミールはお刺身定食だ。一定量の醤油を添え、醤油をテーブルに置かないことで、減塩している。お吸い物も鰹、昆布だけでなく、きのこや野菜のうま味を引き出すことで、塩分を減らしながらおいしくしている。こうしたことが分かったので、私たちは他のメニューも加えて、スマートミールレシピ集の発行を計画している。お店だけでなく、一般の人にも役に立つのではないか。

〈外食店で1000円以内、ランチで700円も不可能ではない〉
―気になるのは価格です

事業所給食の提供会社4社が実際に提供しているヘルシーメニューの献立1カ月分(20メニュー)、合計80メニューについて検証した。

ヘルシーメニューというだけあって、野菜の量やエネルギー産生栄養素バランス(PFCバランス)はスマートミール基準に匹敵する献立となっている。その食材の仕入れ価格までは教えてもらえないので、給食の手法である加重平均成分表を作製し、平均的な市販単価で計算してみた。その結果、調味料を除いて300~ 350円となった。実際には大量に購入するので、もう少し安くなるだろうから、調味料を含めても材料費は350円程度で収まる。事業所給食なら会社の補助で安く提供されるが、一般の外食店でも1000円以内で提供できるのではないか。ランチで700円も不可能ではない。

〈この項、続く=健康な食事・食環境の認証制度「スマートミール」、目的と概要(2)/日本栄養改善学会・武見ゆかり理事長インタビュー

〈給食雑誌 月刊メニューアイディア 2018年5月号より〉

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