日清食品冷凍、17年度の家庭用冷食販売は5%増で着地見込み

日清食品冷凍・山下健一マーケティング部長
〈具付きラーメン類やパスタ類が特に好調でけん引〉
日清食品冷凍の山下健一マーケティング部長は、8日に開催した報道向けの新商品発表会で、市場環境や今春の商品開発の背景などについて説明した。

山下部長によれば、17年度の家庭用冷食(調理品)市場見込みは、前年比1~2%増と推計。主要カテゴリー別では、ラーメン計2%増(うち具付ラーメン4%増)、パスタ計1%増、和風めん計2%増、焼そば(お弁当除く)7%減、米飯1%増、スナック2%増と推計する。

そうした中、同社の販売概況は合計で5%増。ラーメン計10%増(うち具付ラーメン20%増)、パスタ計5%増、和風めん計5%減、焼そば(お弁当除く)5%減、米飯10%増、スナック前年並で、概ね市場を上回って好調に推移しているという。

〈「手抜き」から「スゴイ」へ価値転換できる商品開発を〉
同社は18年春夏のマーケティング戦略として〈1〉“汁なし麺”の拡充による重点カテゴリー強化〈2〉プレミアムリッチ商品による市場創造――を掲げ、〈1〉ではパスタ・汁なし中華の新商品投入・強化を、〈2〉ではプレミアムパスタの新シリーズおよび、有名ラーメン店コラボ、リッチな炒飯を投入する。山下部長は、今回の商品開発において▽スゴイ「時短」をサポート:家庭では作れない贅沢な味・家庭にはないリッチな素材で・しかも、レンチンで簡単調理――という視点を挙げ、その背景となる冷凍食品と「時短生活」の関係についてもデータを基に示した。

公的データが示す「共働き世帯」の比率は年々高まっており、16年には「共働き世帯」が63%と、「専業主婦世帯」の37%を大きく上回っている状況にある。だが、政府調査によると、妻の家事時間は過去20年で19分だけ減少しているが、夫の家事時間はわずか8分の増加に留まっているという。

そうした中、ある調査では、家事の時短に求めるのは「心のゆとり」であり、時短をしたい家事のトップは「食事のしたく」という結果が出ている。時短に際して夫はあてにできない中、「手抜き」というストレスからの解放が必要であり、「手抜き」というマイナス価値から、自分で作るより「スゴイ」というプラスの価値への転換を目指すとした。

ほか、商品開発にあたっての背景について、いくつかのデータをもとに示した。

ある調査によれば冷凍食品の1週間当たりの「食卓出現率」は、2010年4.7%→2016年5.7%とゆるやかだが上昇。週1.2回は食卓に冷凍食品が上がっていることになる。それを時間帯別に見ると、昼食・夕食の出現率が上昇、朝食・夜食は横ばいで、特に昼食需要が伸びているという(2010年8.4%→2016年11.0%)。

また、調理冷凍食品の個食率(ひとりで食べるシーン数/全食卓数)は、2010年13.6%→2016年17.5%と上昇。中でも、冷凍パスタは2010年43.3%→2016年48.1%と、カップめん(2010年51.9%→2016年60.1%)に近いほど高く、5割はひとりで食べている。特に、冷凍パスタの個食率は若い女性(20~39歳)で進んでいる(2010年41.3%→2016年65.9%)ことが分かったという。

また、冷凍食品購買者の間口(購入者数)と奥行(購入金額/人)の変化15年と17年の3年間で比較して見ると、うどん、ラーメン、お好み焼、焼そば、炒飯と多くの品目で間口と奥行が共に拡大、とりわけ炒飯ではともに大きく拡大している一方で、パスタは間口が拡がっているものの、奥行は微減している状況だという。

そうした中にあって、同社の「もちっと生パスタ」は3年間で女性を中心に間口が2倍に拡大。「日清具多 辣椒担々麺」では、20代での奥行が男女とも拡大している状況だという。

〈冷食日報 2018年2月13日付より〉

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