ニチレイロジグループ、先端技術による業務革新を進める 「革新性、卓越性を追求、成長は海外に」/梅澤一彦社長

ニチレイロジグループ 梅澤一彦社長
ニチレイロジグループ本社は14日、同本社(東京都中央区)で「ニチレイロジグループ2017年事業報告会」を開いた。今年4月に社長に就任した梅澤一彦社長が17年度の事業概況と現中期経営計画の進捗状況について説明。国内では情報通信技術を活用した業務革新や女性活躍の推進することで事業規模だけではない、事業運営の革新性、サービスの卓越性を追求する一方、成長ドライバーは海外事業に求めると経営の方向性を示した。

2018年3月期連結決算は売上高が1,951億円で前期比4%増、営業利益が113億円で6%増となった。営業利益は分社化以降の最高益を3期連続で更新した。物流ネットワーク事業の回復もあり国内事業は総じて増収増益と堅調、海外事業は欧州でブラジルの鶏肉不正輸出問題による取り扱い減少や顧客都合による事業所閉鎖の影響から、増収は確保したものの減益となった。

中計最終年度の今期は売上高2,000億円、営業利益115億円を見込む。中計では売上高2,030億円、営業利益110億円の計画だが、今期売上高は欧州の投資案件で環境規制強化による建設許可の遅れが影響することなどから、中計比30億円のマイナスを見込む。

梅澤社長は「営業利益は前期にすでに計画を達成した。したがって18年度は業績面の伸長はもちろんだが、現中計の重点施策である事業基盤の強化を推し進める」とした。具体的項目は〈1〉業務革新推進〈2〉働き方改革の伸展〈3〉国内投資〈4〉海外投資――の4点だ。

「業務革新は事業基盤強化における最重要施策で、現中計で特に注力している」とした。省人化はもちろん、これまで作業員の“経験と勘”に頼った仕事のやり方から、だれでも高いレベルの成果が得られる仕組みへと業務のあり方を変える。

業務革新に対して18年度は投資額12億円、効率化目標3億円とした。17年度から現場での接車~庫内作業の各段階にそれぞれの先端技術の導入を始めており、現中計中にトラック予約システムは26事業所に、タブレット検品システムは40事業所に、それぞれ導入予定だ。無人フォークリフトの実証実験も今年4月に始めた。

働き方改革としては業務革新による環境整備と女性活躍を推進する。業務面では運送受注の自動化システムやAI自動配車の実証実験を進めている。また女性活躍の推進活動を通じて多様性を認める企業風土やチャレンジ意識の醸成を図る。

「働き方改革の真の目的はES(従業員満足度)の向上だ。働き方改革をしっかり進め、そこで作った従業員の時間、心の余裕を社内外のコミュニケーション強化や創意工夫に振り向けてほしい」と述べた。

国内投資としては今年3月に東京団地冷蔵のテナントとして平和島DC(3.9万t)を稼働した。「稼動後2カ月過ぎたが、庫内は予定通り埋まってきている」。北海道では十勝DCを今年6月に増設する。道東への中継物量が想定以上に伸びており、他方で農産品や生乳など地域産品の保管需要もさらに見込めることから増設を決めた。新たに農産品加工場も設置し、増設後は従来の1.5倍の設備能力となる。19年5月には沖縄へ本格進出することも明らかにした。20年には名古屋港湾地区に将来のモデルセンターとなるDCを新設する。

海外投資について、中国では今年1月、現地企業との合弁会社「江蘇鮮華物流有限公司」を設立。「現状は大手CVSが主要顧客だが、今後は合弁先がもつ小売りや食品事業に関する物流の獲得も視野に入れる」。新たにマレーシアにも進出した。

梅澤社長=食品物流事業者No.1をこれからも目指すが、売上高や設備能力だけでなく、運用の先進性や革新性、サービスの卓越性――と定量面だけでなく定性面でも認められる企業にしていきたい。関連して先端技術を導入することで業務革新を進めていく。デジタル化によって男女差なく活躍できるようになったり、在宅勤務が可能になり女性が仕事を継続しやすくなることにつながる。

国内は人口減となるため、成長のドライバーは海外に置かざるを得ない。海外事業の売上構成比は18%まで高まっているが、中期的に(欧州中心に)25%まで引き上げたい。

〈冷食日報 2018年5月16日付より〉

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