日本ハム「中期経営計画2020」を発表、次の成長ステージに向けた期間と位置づけ

日本ハム・畑佳秀 代表取締役社長
〈3ヵ年で設備投資に2,100億円、うち半分は成長投資/畑社長〉
日本ハムは10日、18年3月期連結決算を発表し、大阪市内の本社で決算会見を行った。

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畑佳秀代表取締役社長は前期(18年3月期)を振り返り「原材料価格の高騰、人手不足による人件費コストや物流コストの上昇、さらには競争激化という厳しい環境が続いた」と述べた。また、前期までの「新中期経営計画パート5」(新中計パート5)について「当初は売上高を1兆3千億円と計画していたが、テキサスファームの売却などもあり未達となった。また、営業利益は520億円の計画に対して、前期は492億1,800万円と未達であった。税引前当期純利益、当期純利益は兵庫工場の土地の売却、大谷翔平選手の移籍金収入などにより計画を達成した」と説明した。

新たな中期経営計画について「『中期経営計画2020』と名前を改め、次の成長ステージに向けた期間としている。テーマを『未来につなげる仕組みづくり』として、先々を見据え、次の3年間ですべきことをまとめた。長期的視点に立ち、全体の戦略と事業本部の戦略がより連携するようにもっていきたい」と意気込みを語った。「中期経営計画2020」では「消去調整他の項目に130億円を計画しているが、そのうち働き方改革と構造改革の費用を70億円ほどと想定している。このほか、40億円ほど新技術やIoT、マーケティングなどに投資をして、次につなげてゆきたいと考えている」と改革や先行投資に注力することを述べた。「中期経営計画2020」の経営方針で掲げる「海外市場展開のギア・チェンジ」について「『新中計パート5』では連結売上高の15%を海外会社の売上高にする計画だったが、事業の基盤整理を行い未達となった。ただ、ウルグアイのBPU社の買収、マレーシアのLay Hong社との資本業務提携などにより拡大しようとしている。豪州事業は改革プロジェクトを3月から開始している」と現在の取組み状況を説明。「中期経営計画2020」では3ヵ年で設備投資に2,100億円と「新中計パート5」と比べて大幅な投資増を計画しているが、「半分となる約1,100億円は成長投資と考えており、残り半分は維持・更新、品質の維持対応としている。基盤の強化を各事業部で取り組む。また、人手不足の問題や生産性の向上については、しっかりと注力してゆきたい」と語った。

〈新中計では利益確保、商品開発強化、コスト改善に注力/井川本部長〉
【加工事業本部】

井川伸久常務執行役員加工事業本部長は前期を振り返り「コストなどのマイナスを数量の伸びでカバーできなかったことが要因で、売上は伸びたが利益が減少となった。ハム・ソーでは主力の『シャウエッセン』、『豊潤あらびきウインナー 』は順調に数量を伸ばし、利益に貢献したが、デリ商品では『中華名菜』、『石窯工房』が苦戦した。また、業務用ではハム・ソーが苦戦したが、デリ商品は伸ばすことができた」と説明した。

井川伸久常務執行役員加工事業本部長

日本ハム・井川伸久 常務執行役員加工事業本部長

今期からスタートする「中期経営計画2020」について3つのポイントを説明。「まずは低収益からの脱却で、どのように売上を上げながら利益を取っていくのかを、中計のポイントとして考えている。『シャウエッセン』を中心に重点ブランドの販路を広げていく。また、冷凍食品売場やCVSなどに対してもブランド商品を広げてゆきたい」と述べた。続いて、「日本ハムの加工事業はヒット商品で大きくなった。もう一度、商品開発を強化してゆきたい。来年の展示会に向けて、大型商品を作り上げてゆきたい。そのために顧客の声を聞く活動をどんどん進めて、現場視点のマーケティングを徹底して、商品開発につなげてゆく」と考えを明かした。最後に、「コスト構造を変えてゆく。今までは製造、営業ごとに改善の取り組みをしていたが、部署をまたがった取り組みを行ってゆきたい。また、物流はもちろん、商品の見直しも一部図ってゆきたい。仕入れ、設備投資の中で合理化や商品化のラインへの投資も積極的に進めてゆきたい」と意気込みを語った。また、今期の計画数値について、「売上高は3,650億円、利益は59~85億円にもってゆきたい」と述べた。

〈畜産日報 2018年4月14日付より〉

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