スターゼンが初のアナリスト向け説明会、強みや長期的成長への布石を説明

〈総合食肉加工メーカーへ、ハンバーグ・ローストビーフの生産能力増強〉
スターゼンは5月31日、東京駅近くの大和コンファレンスホールで初めてとなるアナリスト向けの会社説明会を開いた。中津濵健代表取締役会長兼社長、永野章代表取締役副社長、寺師孝一代表取締役専務が出席し、スターゼンの会社概要と特長・強み、業績推移と事業環境、中期経営計画骨子、長期的成長への布石などを説明した。

中津濵会長兼社長は「スターゼンは、食肉の卸として一定の規模を誇っているが、今回、投資家の皆さんの認知度、当社のネームバリューとブランド力を高めるため初めて説明会を開催することとした。18年3月期の連結売上高は3,401億円、当期純利益は51億円となった。設立以来、豪州からの初めての冷凍牛肉の試験輸入、豚枝肉の氷冷却貨車による初めての遠距離輸送、日本初の冷蔵トラックによる豚枝肉輸送、日本マクドナルドと取引契約し日本初の100%ビーフパティ工場開設など数々の業界初に挑んできた」と説明した。

品目別の売上構成比は、食肉81%、加工食品14%、ハムソー4%など。「食肉は国産・輸入が半々だが、日本有数の豊富な商品力を持つ。また加工食品の需要増加に対応して加工食品を伸ばしており、伸び代のある企業と自負している。食肉にはフォローの風が吹いており、2014年に比べ売上高は835億円、当期純利益で33億円増加し、増収増益を続けている。安全・安心に力を入れるとともに、部分最適・全体最適の考えを浸透させ、営業がリードし、それに調達が応えるとの役割を明確にし、新規取引先の拡大・深耕に取組み、この結果につながった」(中津濵会長兼社長)。

スターゼンの特長・強みでは、〈1〉調達―加工―販売まで手掛ける食肉専門のトータルサプライヤー〈2〉幅広いニーズに対する対応力(営業・販売体制、工場対応、供給力)〈3〉安全・安心、高い品質――を挙げた。最後に、「食文化に貢献する100年企業をめざし、食肉、その周辺領域を事業ドメインとしてグローバルな総合食肉加工メーカーへの進化を図る」と抱負を述べた。

中期経営計画については、永野副社長が説明し、「21年3月期の目標は売上高3,800億円、営業利益100億円としている。食肉は衛生管理、安全・安心などデリケートな対応が必要、また人手不足で加工度の高い商品が求められ、こうした商品を増やして目標を達成したい」と述べた。

中計の基本戦略は〈1〉総合食肉加工メーカーへの挑戦(攻め)〈2〉業務プロセス改革によるグループ競争力強化(守り)〈3〉コーポレート機能強化(攻めと守りの戦略を支える機能強化)――3つを挙げた。特に〈1〉では、食肉製造の競争力向上、高付加価値化、中食・調理済商品の製造能力増強を図る。関連して3カ年で180億円の設備投資を行う。今期についても、ハンバーグ工場15億円(前期に15億円)、安全安心、SQFの維持などの衛生管理に4~5億円、その他10億円を予定している。

長期的成長への布石では、寺師専務が説明、〈1〉海外事業の展開強化〈2〉資本・業務提携、M&Aを通じたエリア・領域の拡大〈3〉繁殖・肥育事業の強化〈4〉加工食品事業の展開強化、〈5〉コスト削減、省力化に向けた取組み――を挙げた。このうち〈4〉では、小売販売店舗のバックヤードの人手不足に対応し、4つのアウトパック工場でニーズに応えるとともに、安全安心な商品を提供できる機能を整備している。

ローストビーフ、ハンバーグの需要拡大に対しては、ローストビーフではローマイヤ栃木工場の生産設備を増改築し、17年11月からローストビーフ・ローストポーク製品の生産能力を1.5倍に拡大した。ハンバーグでは福島県にスターゼン食品本宮工場を新設し、従来の月間600tの生産能力に、同工場の350tを加える。スターゼンとしては、外食、スーパーの中食など業務用の調理各食品を伸ばしていく。

〈畜産日報 2018年6月4日付より〉

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