〈流通サイドと情報を共有、飼養・豚舎管理で疾病の侵入を防ぐ取組み〉
中津川農場(岐阜県中津川市)は、吉野ジーピーファームの第2農場として14年に開設した。以前から同地には岐阜県経済連の養豚場があったが、施設を買い取り、浄化槽や繁殖豚舎、離乳子豚舎などを新設する一方、事務所や肥育豚舎など一部は既存の設備を改修した。現在、6人のスタッフが従事し整理・整頓・清掃に努めており、施設は隣棟間隔を確保した配置がなされている。施設内は3つのエリアに区分けされ、入場制限することで疾病の侵入防止を行っている。

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〈飼養・衛生管理の特徴〉
同社では02年から業界に先立ち、流通業者(イオン)と協力のもとHACCP方式を導入した「飛騨旨豚」の生産・衛生プログラムを策定している。危機管理においてもCCP(重要管理点)を作成、生産から出荷・販売までトレース可能なシステムを構築することで、安全・安心につなげている。放射性物質についても1ベクレル(/kg)以下まで検出レベルを高めて毎年1回検査を行っているほか、豚肉の脂肪酸組成など栄養成分検査も行っている。

同農場では、母豚の管理についてもできるだけ投薬をしないように努めている。かりに投与する際にも衛生プログラムのなかで取り決めた指定薬剤を使用するほか、豚舎に使う消毒剤も何を使用するか、イオンと取り決めながら処置をしている。こうして、流通サイドに情報を全て開示・共有することで信頼関係を構築している。吉野毅代表取締役は「我々がいかに良いモノを作っても、流通・販売する人たちがその思いを伝えて売ってもらえなければ、消費者にその思いは伝わらない。そこで販売店とタイアップする形で取り組んでいる」と説明した。

生体導入に関しては、生産ピラミッドで頂点に位置する種豚農場の衛生レベルの高さを吟味したうえで、導入する農場を決定する。そこから導入した種豚は、血液(抗体)検査と糞便(細菌)検査を実施し、現在フリーであるオーエスキーやPRRS、トキソプラズマなどの疾病と、大腸菌やサルモネラ菌などの有無を確認する。2週間から1カ月弱かけて隔離・検疫し、導入豚のヘルス・ステータスを確認してから編入している。

「無薬とはいえ、病畜を出荷するわけにはいかない。無薬でも健康ですくすく育った豚を生産しないと絶対においしい豚肉にならない」(吉野氏)という。年2回の衛生検査を行い、血液検査や糞便検査を実施してヘルス・ステータスを確認している。そのため、日本でトップレベルの衛生レベルを維持しており、PRRSはもちろん、豚マイコプラズマ肺炎など生産に影響を及ぼす重大な疾病はすべてフリーを維持している。スタッフの徹底した衛生・飼養管理により、各豚舎とも咳をするようなことは皆無だという。

無薬がゆえに、ストレスなどで大腸菌やコロナウイルスなどが少しでも侵入すると重大な疾病につながるため、慎重なコントロールを心掛けている。外部から病原菌を持ち込まないことはもちろんのこと、農場内から病気を出さない、つくらないことを心がけている。

一見コストと手間がかかるとみられる無薬豚の取組みだが、実は経営上のメリットもあるという。「農場の衛生レベルを高めることで、無薬であっても早く育つようになった。とくに新しい中津川農場では現在、概ね154日齢で110~115kg に到達し、早いものでは128日齢で115kg になる。そうした豚を無薬で達成することができる。一方、高山農場は現在、170~180日齢で115kg になるため、1カ月の差が生じている。無薬でかつ農場を綺麗に維持することでそれだけの差が現れるため、そこに優位性を見出すことができる。今後、中津川農場のノウハウを高山農場にフィードバックさせていきたい」(吉野氏)としている。

〈この項、続く吉野ジーピーファーム(4) 豚舎管理の特徴

〈畜産日報 2018年6月27日付より〉

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