〈相場上げ要因少なく、生産好調で凍結回しも警戒感〉
国産鶏肉、とくにモモ正肉は例年、夏場が不需要期となっているが、今年は年度替わり以降、鶏肉の末端消費の落込みにより、例年以上に厳しい下げ足となっている。昨年好調だったムネ肉も今年はジリ下げのパターンが続いている状況だ。

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ブラジル産が先の供給不安から市中出回りが減り、税抜きで300円台後半の高値を付けるなか、国産モモ正肉は消費の冷え込みで、6月の月間平均相場(東京:税抜き、以下同)は前月から20円下げて586円と、600円の大台を割り込む状況となった。

ムネ肉も、生産好調で実需を上回る供給が続いたことで弱気となり、前月から10円下げの284円とジリ安に。7月はモモ正肉が前月下旬には500円半ばまで下げたことで末端の販促の強まりを期待したいところだが、7月に入ってもその気配はなく、むしろ梅雨の天候不順や猛暑で家庭での調理が控えがちになり、後半からは給食需要もなくなるなど、プラスの材料が少ない。このため、モモ正肉は一段下げとなり月間平均で560円前後、ムネ肉は横ばいの280円前後と予想する。

[供給見通し]この時期の出荷は暑熱による死鳥など天候に左右される面が大きいが、現時点では各産地ともに目立った影響は出ていないもようだ。むしろ種鶏・ブロイラーともに生産成績は順調で産肉量は向上しているという。日本種鶏孵卵協会がまとめた鶏ひなふ化羽数によると、5月のブロイラー用ひなの出荷・え付け羽数は前月比2.5%増、前年同月比では2.3%増となっている。また農畜産業振興機構の需給予測によると、7月の鶏肉生産量は前年同月比1.7%増の12万7,300tと予想、鶏肉の輸入量は同6.0%増の4万3,200tと予想している。これに3万t台後半から4万t近い家きん調製品が加わるとみられる。

国内在庫(国産・輸入)は7月末で前年同月比0.6%減の14万6,800tと、前年を下回り、とくに輸入品は8月にかけて在庫は締まるとみられる。国産についても、骨付きモモは年末に向けて凍結玉を仕込みたいところだが、前述の通り、生産成績が向上しているなか、秋口には気温低下で生鮮物の供給が一段と増えてくる可能性も考えられ、需給バランス確保ための凍結回しには慎重な向きもある。

[需要見通し]春先以降、国産鶏肉の末端需要は伸び悩んでいる。ただ、総務省の4月の家計調査では、鶏肉の1世帯当たりの購入量は前年同月比3.8%増の半面、平均価格は93円・2.8%安と、消費量は決して落ち込んではいない。むしろ産肉量が多いため、実需以上に供給がオーバーしていることが大きいといえる。通常ならばモモ正肉相場が600円を割り込んで値ごろ感から末端の販促が強まる可能性もあるが、7月は猛暑や後半の学校給食の休止など、需要の盛り上がりの期待は薄い。一方、ムネ肉については、前年7月はサラダチキンの需要などで330円前後の高値を付けたが、今年は相場が値下がりしたことで、加工需要の引合いも期待される。ただ、そのほかのササミ、手羽先、砂肝といった夏場商材は猛暑や夏休み入りもあり、どこまで需要が伸びてくるかは微妙なところ。

[価格見通し]この半年間は、モモ肉続落、ムネ肉じり安の展開となったが、8月にかけても基本的にはこの流れは変わりなく、後半にかけてモモ正肉は弱気、ムネ肉は横ばいの展開と予想される。「海の日」を含む3連休にかけてモモ肉相場はいったん下げ止まる可能性は高いが、夏休みに入る後半は再びジリ安に転じ、月平均相場は560円前後となりそうだ。ムネ正肉は現状を維持し280円前後と予想される。輸入品の現物相場は、出回り少なく8月にかけて強気の展開とみるが、さすがに現状の300円台後半が天井とみられる。

〈畜産日報 2018年7月4日付より〉

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