ベビーチーズの市場(年間約1万7000t、290億円、食品産業新聞推計)が4年連続で急成長している。これに対し六甲バター、マリンフード、宝幸が、17年後半から18年春にかけ生産能力を増強し、今春は新品種を続々投入、市場はますます勢いづいている。成長の背景にあるのは、底固い家飲み需要、そして近年は手軽にカルシウム補給できるとして、シニアやチーズ初心者の取り込みが進んでいることが消費押し上げにつながっており、18年もまだ伸びそうだ。

ベビーチーズは雪印乳業が1960年3月、各社に先駆け発売。当時の消費の傾向は、「プロセスチーズ半ポンドものを基盤として、ベビースタイルものに人気があるといわれ、デパート筋の消費動向も2個買いを中心に、家族数にあわせて買い求める傾向が強かったので、各社はこぞって小型包装機の輸入設備に踏み切った」(雪印社史より)。

1972年に六甲バターがベビーチーズを発売、市場が活性化し、その後各社の参入が相次いだ。市場の伸びは直近4年間が特に目覚ましく、2014、15年度(4~3月)は前年比2ケタ増、16年度も7%増、17年度も2ケタ近い成長の見込みだ。シェアは本紙推計で六甲バターが60%強、雪印メグミルクが10%強、宝幸が約5%で、大手量販のPBやマリンフード、ヨシダコーポレーションなどがこれに続く。

〈健康機能への注目でシニア層を取り込み〉
主要購入層は40代以上の女性。喫食シーンはおつまみ、おやつ、朝食、お弁当の順。今年1月の日本アクセス展示会で掲示されていたボードによると、サラリーマンの小遣いの減少も背景に、「50代は約2日に1回自宅でお酒を飲んでいる」「40代は週平均3回くらい自宅飲み」との調査結果があり、圧倒的に家飲み需要が支えている構図となっている。

また近年の新たな消費層がシニア。カマンベールチーズに認知症予防効果がある、とのテレビ報道に端を発した「チーズの健康機能面」が世間で注目され、その中でもベビーチーズは100円前後の値頃感があり、簡単にカルシウム補給できるとしてシニアの需要を取り込んでいる。「熟年層などがチーズの入門編として、食べやすく、個包装で食べ過ぎを防ぐこともでき、値ごろ感が魅力のベビーチーズを、日常的に買うようになり、17年度上期は消費を押し上げた」(メーカー)。

六甲バターは17年12月に稲美工場(兵庫県)の新ラインを稼働させ、さらに神戸にプロセスチーズ新工場の建設を進め19年春に稼働予定、またマリンフードは長浜工場(滋賀県)に17年11月に3号機を導入、宝幸は大和プラント(神奈川県)に18年春に新ラインを稼働させるなど、各社が続々と増産に動いている。

このうち宝幸は今春、ビール向けに「焼豚入り」「焼とうもろこし味」を追加し、既存の「生ハム入り」などワイン向けと両輪で家飲み需要を強力に取り込む構えで、「ベビーチーズの中でも、おつまみ向けベビーチーズは直近3年間で33%の伸長を記録」と、ベーシック3品に対しおつまみ6品の品揃えで、戦略を明確にしている。

国内のチーズ市場は10年間で約2割の成長を遂げた一方で、チーズを食べない人も2割程度存在している。この層は食べる機会がなかった高齢者層でもあり、健康効果に敏感に反応する層でもあることから、チーズの健康機能が注目されるほどに需要は高まる。おつまみ需要と健康機能に対する需要で、どこまで市場は伸び続けるのか関心が集まる。


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