東京油問屋市場大納会はラード国産60円高、大豆油上値3,900円で越年

金田雅律 建値委員長(マスキチ社長)
東京油問屋市場は11日、17年大納会を都内で開き、ラード国産(15kg)が60円高の3,015円を付けたほかは、大豆油・菜種油は前回の立会で中値・下値100円高となった関係もあり、いずれも同事で終った。これにより17年の油価は、大豆油上値3,900円(前年比200円高)、菜種油上値4,400円(同200円高)、菜種白絞油上値3,900円(同200円高)で越年となる。

大納会の立会にあたり、金田雅律・建値委員長(マスキチ社長)があいさつし、「業務用斗缶の値上げは今も進んでいるが、米国大豆・カナダ菜種共に豊作にもかかわらず高値で推移し、為替は若干円安気味、さらに原油相場が上昇傾向にあり、そうなると海上運賃や工場稼働、副資材、運送費にも影響が及ぶ。さらに人件費の上昇もあり、そうした諸々のコストアップを積み重ねていくと、値上げをせざるを得ない、ということであり、我々としても協力しなくてはいけない」と述べた。

さらには、「一方で販売量が減ったとしても、プレミアム商品で売上・利益を上げていく、という動きも強まっているようだ。食用油もそうした利益の出る商品を売っていかなくてはと考えている」との見解を示した。
 

金田康男 東京油問屋市場理事長(カネダ社長)

金田康男 東京油問屋市場理事長(カネダ社長)

〈油価適正化にはまだまだ足りない、製販一体で来年も油価是正に取り組む〉
立会終了後の懇親会では始めに、金田康男・東京油問屋市場理事長(カネダ社長)があいさつし、「今年の運勢は『一白水星』ということで、いろいろと世の中の流れが変わるとされていたが、変化の一番のキーワードは、『人手不足』だろうと思う。外食業界など、じわじわといろんな影響が出てきている。他方で、製油メーカーと、我々販売業者は一体となって油価値上げを進めてきているが、やっとお客様からのご理解が得られ始めていると感じている。今年は『さんずい』の付く商売が良いと言われていたが、年末になってようやく(油価が)上がってきた。しかし、本当に適正価格まできているかと言えば、まだまだ足りない。また、他の産業と比べて、食品産業は成長率が低いとされている。その背景はいろいろあるだろうが、食用油の付加価値に理解をいただいて、製販一体となって来年に向けても油価是正に取り組んでいかなければいけない」と述べた。

続いて来ひんとして、日清オイリオグループの岡雅彦・常務執行役員があいさつし、「今年の植物油市場を振り返ると、業務用では中食の伸長が続いているほか、外食も回復傾向にあり、堅調に推移している。家庭用では、ごま油や米油は(金額ベース)で2ケタ伸長、オリーブ油も現地相場高騰で価格も上がってきているが、ほぼ前年並みを維持している。また、アマニ油などのサプリ的オイルも、一時よりトーンダウンしているとは言え、依然として全体の10%を占めている。一昨年辺りから、植物油へのイメージが大きく変わり、健康性の高い油種だけではなく、汎用油もマイナスイメージが払しょくされつつある。植物油の価値はかなり向上していると考えており、この流れを加速させていきたい」との見解を示した。

日清オイリオグループ 岡雅彦常務執行役員

日清オイリオグループ 岡雅彦常務執行役員

さらに「日本植物油協会の会員各社では、油価改定に取り組んできている所で、お客様からは一定の理解をいただき、かなりの進捗をみているが、最後の一歩が詰めきれておらず、必要なご説明をこれからも行っていきたい。これが植物油の価値向上のベースになると考えており、これまで以上に東京油問屋市場の皆様にはご協力いただきたい」と述べた。最後に、宇田川公喜・全国油脂販売業者連合会会長(宇田川商店社長)が乾杯の音頭を取り、来年の油脂業界の発展を祈念して杯を挙げた。

〈大豆油糧日報2017年12月13日付より〉