消費者庁のGMO(遺伝子組み換え)表示検討会は14日開いた会合で、報告書案をとりまとめた。争点となっていた、Non表示(「遺伝子組み換えでない」)の条件については改めて、現行のGMO混入率5%以下から「不検出」に厳格化することを決めた。

湯川剛一郎座長(東京海洋大学教授)はとりまとめにあたり、「表示制度は消費者の商品選択のためであり、誤認を招いてはいけないため、Non表示は『0%』を方向性とする。なお前回までは『0%(検出限界以下)』としていたが、『0』の表記は誤解を生む可能性があるので、『不検出』と今回から表記するが意味合いは変わらない。また、新たに策定する公定検査法は、誰が分析をしても、ほぼ陽性反応がでる検出限界ラインを判定根拠に置くことになる」との見解を示した。

これに対して、今村知明委員(奈良県立医科大学教授)は「表現は『不検出』の方が良い。ただしNon表示の厳格化の未来を認識してほしい。特にトウモロコシでは問題がある。事実上Non表示は無くってしまうだろうし、Non表示商品がプレミアム化し、価格が高騰することも考えられる。あるいは現行の5%以下の分別流通による商品の購入動機がなくなり、分別流通制度が消えてしまうリスクがある」と指摘し、警鐘を鳴らした。さらに武石徹委員は(食品産業センター企画調査部長)は「トウモロコシは輸入事情を考えると、不検出は難しい。大豆は国産ニーズが高まることが予想され、それにより価格が高騰すると、中小企業が国産大豆を手当することは難しくなるかもしれない」と、厳格化することの危険性を説いたが、湯川座長が最終的に押し切る形となった。

〈湯川座長が押し切る、Non表示が無くなる可能性や価格高騰の懸念指摘も〉
近藤一成委員(医薬品・食品衛生研究所生化学部長)は「厳格化は検査法によるが、正しい表示にする上で、トウモロコシでNon表示が無くなるのはやむを得ない。ただし加工品原料にどこまで、消費者がGMOを気にするのだろうか。逆に5%以下で混入していることが分かれば、消費者のGMO理解、受容が広がる可能性がある」と話した。

松岡萬里野委員(日本消費者協会理事長)は「分別流通により、5%以下のものが現行のNon表示である事の周知を徹底すれば混乱はないのではないか」と述べた。

神林幸宏委員(全農食品表示管理・コンプライアンス部長)は「制度としては、現行制度と変わらない。Non表示ができなくなるだけで、事業者の努力やコストは今と変わらないのではないか。表現が変わる中で、消費者も事業者を監視する必要があり、事業者は消費者の要望に応える必要がある。分別流通をしっかりと行い、消費者に物を届ける必要がある。消費者は表現が変わるだけで、買わなくなることはない」と述べた。

夏目智子委員(全国地域婦人団体連絡協議会幹事)は「検討会の目的は、消費者の選択の確保になる。結果としてはNon表示だけが変わる。5%以下の表示を、事業者がどのように行うかが重要になる。事業者の努力が伝わるのであれば、消費者は買うだろう。情報提供が大切だ。消費者も事業者の姿勢を見る必要がある」と話した。

澤木佐重子委員(食の研究会代表)は「5%以下の表示方法の変更を、誤解のないような啓発が必要だ。本来は表示を見て、消費者が判断するが。調査では制度の認知率は低いので影響は少ない。一方でNon表示にこだわる人にとって、表示の変更は歓迎される」と述べた。

なお、混入率5%以下の任意表示例については、事務局が一括表示内の場合は「遺伝子組み換え原材料の混入を防ぐため分別管理されたもの」や「遺伝子組み換え混入を防ぐため分別」「遺伝子組み換え混入防止管理済」が示された。

一括表示外での表示例では「分別管理された大豆を使用していますが、遺伝子組み換えのものが含まれる可能性があります」や「遺伝子組み換え大豆ができるだけ混入しないよう、生産・流通・加工の段階で適切な管理を行っています」などを示した。

〈大豆油糧日報 2018年3月15日付より〉

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