「大豆ファースト」食による食後血糖値の上昇抑制効果を報告/フジッコ

フジッコ マーケティング推進室 紀井孝之室長
フジッコは、かくれ高血糖対策として、食事の最初に大豆を食べる「大豆ファースト」の食後血糖値上昇抑制効果に関する検証実験を行い、実証結果を報告するセミナーを都内でこのほど開いた。

開会にあたり、マーケティング推進室の紀井孝之室長が「フジッコは健康創造企業を目指している。昆布加工食品からはじまり、大豆・豆類、デザートなどで、健康とおいしさを追求している。最近は和食離れと言われる中で、昆布や豆類は時代と共に形が変化している。昆布は薄切りの塩昆布が海外でも使用されている。豆類では以前は煮豆や納豆だったが、今ではコンビニのサラダでも入っている。中でも蒸し大豆市場は近年拡大し、この2~3年で市場規模が約2倍になっている。商品の多様性、栄養価、簡便性が受け入れられている」とあいさつした。

〈隠れ高血糖は糖尿病に匹敵する危険な状態、食生活で健常に戻せる〉
続けて池谷医院の池谷敏郎院長が「かくれ高血糖のリスク&『大豆ファースト』のススメ」と題し講演した。

池谷医院 池谷敏郎院長

池谷医院 池谷敏郎院長

池谷院長は「開業医として一日100人近くを診察していると、高血圧や脂質異常者、糖尿病など多くの人がいる。共通点は血糖値の異常になる。食後の血糖値が上がり、基準値を超えてしまう。現代人の約半数は何らかの耐糖能異常の問題を抱えている。生活習慣病の根底となっている。血糖値は測る機会が少なく、健康診断では食事を抜いた状態で測定する。食後の血糖値の推移が見えてこない。糖尿病になるまで分からない。食後の血糖値の異常・急上昇が動脈硬化にも関係している。隠れ糖尿病、隠れ高血糖と言われている」と話した。

健常であれば、食後の血糖値は140mg/dl を超えることはなく、隠れ高血糖の人は、食後に急上昇して140を超えるとした。過食や運動不足、筋肉量の低下、不眠などで、インスリンの働きが低下すると、肝臓が十分にブドウ糖を取り込めなくなるとした。そのため食後に急激な高血糖となるが、肝臓を通り抜けたブドウ糖は、筋肉などに取り込まれるため、比較的速やかに血糖値は食前レベルまで戻る。隠れ高血糖は糖尿病の基準は満たさないため、病気とされないが、糖尿病予備軍状態であり、動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中、認知症、ガンの発症リスクは糖尿病にも匹敵し、危険な状態だとした。

脳卒中の発症リスクは約1.5倍、冠動脈疾患は1.2倍、アルツハイマー型認知症は1.5倍に高まるため、食後の血糖値急上昇を抑え、インスリンの過剰分泌を抑える食生活が必要で、隠れ高血糖の状態あれば、健常に戻すことは難しくないとした。

対策としては、炭水化物などの糖質の過剰摂取を控え、野菜を先に食べるなど、血糖値の上昇を抑える必要があり、大豆は満腹感も感じやすく、食物繊維以外にも、大豆たん白やイソフラボンの働きで、血糖値の上昇を抑える以外にも、脂質代謝の働きが期待できるとした。加えて、食後に適度な運動習慣が必要だとした。

フジッコの研究開発部の難波文男主任は、「蒸し大豆による食後血糖値上昇抑制効果検証」について報告した。食事法による食後血糖値の上昇と満腹感の推移を検証した。検証ではおにぎり(2個)のみのノーマル、蒸し大豆(26g)を最初に食べた後におにぎりを食べる大豆ファースト、野菜サラダ(100g)を最初に食べた後におにぎりを食べるベジファーストの3つに分けて行った。

大豆ファーストの食事方法では、摂取後15分の血糖値ではノーマルに比べ食後血糖値の上昇を抑制する効果があり、有意性があるとした。なおベジファーストも同じく抑制効果があるが、満腹感では、大豆ファーストは、ベジファーストに比べ満腹感が高く、大豆であれば少量でも満腹感を長時間維持する効果があるとした。

〈大豆油糧日報 2018年4月17日付より〉

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