全油販連(全国油脂販売業者連合会)が開いた油脂未来セミナーでは、宇田川公喜・全油販連会長が油問屋の歴史を解説したほか、日本植物油協会の齊藤昭専務理事が、植物油業界を巡る課題を説明した。

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宇田川会長は中世・江戸・明治期の油問屋の歴史に次いで、昭和期については、日中戦争の本格化に伴う戦時統制経済体制への移行のあおりで、油脂業界でも1940年(昭和15年)に、菜種・菜種油の集荷配給統制を行う日本輸出農産株式会社、大豆・大豆油の配給統制を行う日本大豆統制株式会社、その他の全油種の統制を行う日本油料統制株式会社が相次いで国策会社として設立されたことを紹介。

さらに1941年(昭和16年)には、それら国策会社の下、東京・大阪・名古屋などの組合を中心に全国油脂販売業者連盟が設立され、行政当局と油脂販売業者の調整が図られるようになった。

そして太平洋戦争での敗戦を経て、1950年(昭和25年)の朝鮮戦争の勃発を契機に統制は解除されたが、休戦により新三品と当時よばれていた油脂・皮革・ゴムの大暴落により、油脂業界は大混乱となり、多くの業者が廃業に追い込まれる事態になったことを説明した。

油脂販売業者は統制解除により営業活動は自由となったが、製品価格の乱高下により取引は不安定な状態にあり、それを踏まえて1951年(昭和26年)に東京油問屋市場が復活、次いで各地区の組合も再結成される流れの中で、全油販連も1953年(昭和28年)に結成される運びとなった。全油販連は設立当初、当時は非常に少なかった食用油消費の増進PRのほか、油脂販売店の保護育成、適正利潤確保を主な活動方針としていた。昭和30年代に入り、製油メーカー各社はドレッシングを主な用途とするサラダ油の販売に注力し、東京油問屋主催での商品展示会を開くほか、東京都や旧食糧庁と連携した、食用油消費拡大を目的とした料理講習会などに取り組んでいたことを紹介した。最後に、宇田川会長は「照明用から食用に変遷していったが、油は昔から生活必需品であった。一方で油は相場商品であり、価格の変動に対して販売業者は取り組みを続けている。油について良く知ることによって、価値を十分に理解し、油屋としての矜持(きょうじ)を持っていただきたい」と述べた。

〈齊藤日油協専務理事が貿易交渉の影響、食品表示制度の動向を解説〉
次いで齊藤日油協専務理事は、政府の基本政策や景気動向などにふれた上で、植物油業界については、始めに貿易交渉の影響について説明し、TPPについては当初、大豆油・菜種油、加工油脂の関税を段階的に削減・廃止予定だったが、トランプ米大統領の離脱宣言を受けて、米国抜きの11カ国がTPP11に今年3月署名した。11カ国のうち6カ国が批准を終えてから60日後に発効することとなっているが、菜種油関税などへの影響を注視する必要がある、との見方を示した。

続いて食品表示制度の動向について言及し、「安全面での改正については全面的に協力しており、業界としても最大限の対応を図っているが、近年はポピュリズム的な、科学に基づかない側面が強まっている」と前置いた。その上で、昨年9月施行された原料原産地表示については、「コーデックスなど国際合意が無いにも関わらず、政治的に決まった制度であり、『大括り表示』や『または表示』の形で妥協が行われてしまった。しかし当協会としては、制度が決まった以上は対応せざるを得ず、植物油については『国内製造』という表示で具体的な調整を行っている」と述べた。

このほか、GMO表示における対応や、オリーブ油の規格化の動き、認証パーム油において民間認証のRSPOだけではなく、マレーシアの政府認証MSPOが選択肢として必要なことを説明した。

〈大豆油糧日報 2018年6月21日付より〉

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