アサヒコ2024年事業戦略発表会、「豆腐バー」海外初進出、来年には累計1億本販売目指す

アサヒコ・マーケティング本部本部長の嶋裕之氏と、池田未央社長
アサヒコ・マーケティング本部本部長の嶋裕之氏と、池田未央社長

アサヒコは3月27日、「2024年事業戦略&新製品発表会」を都内で開き、池田未央社長が「豆腐バー」の海外初進出を発表した。

業務用の展開も開始し、来年には累計販売数1億本販売を目指す。さらに、大塚食品で大豆飲料「スゴイダイズ」やプラントベースフード(PBF)「ゼロミート」を開発した嶋裕之氏が2月1日付でアサヒコのマーケティング本部本部長に就任し、同発表会に登壇した。

アサヒコは、具材入り「豆腐バー」の3本目の生産ラインを増設すると共に、ゼロカラの超高速冷凍機を導入し、海外に販路を拡大していく。池田社長は、「豆腐の定義を伝統食から植物性たん白源質に定義を変え、豆腐を食卓に上げやすくしているアサヒコの取り組みが海外でも評価されるのではないかと考えた」と背景を説明している。和食がユネスコ無形文化遺産に登録されて10年という節目を迎えたことも理由のひとつだ。

最初に輸出する商品は「豆腐バー旨み昆布」だ。池田社長が「1本でかじれる和食」と評した同商品は昆布だしで味を付けており、うま味を活用することで動物性油脂の少ない食生活を実現する和食の特徴を捉えた商品だとしている。

国分グループ本社と業務提携し、最初はシンガポールに輸出する。選定の理由として、まずシンガポールで日本食が人気を集めていることを挙げる。一方、豆腐は日配品ゆえに現地で入手しづらいことから参入の余地があると踏んだ。

シンガポールでも高齢化が進んでおり、健康意識が高まっていることも背景にある。加えて、シンガポールでも共働きが増加していることから、簡便性も求められている。円安により日本製品を試しやすい環境になっていることもあり、最初の輸出国に選んだ。

〈ゼロカラの超高速冷凍技術によりわずか10分で凍結、食感やおいしさを維持〉

海外での販売目標について、4月にシンガポールで販売を開始し、動向分析したのち、具材入り「豆腐バー」でSKU(最小の管理単位)を追加する。12月には具材入りの生産ラインのハラル認証を取得予定だ。2025年には、ムスリム圏や、距離や文化が近い台湾・香港まで拡大する。2026年はアジア圏へ拡大し、海外構成比10%を目指す。2027年以降は欧米へ拡大し、海外構成比30%を目指す。

海外輸出を実現させたのは、ゼロカラの超高速冷凍技術によるものだ。90%以上が水分でできている豆腐を通常の方法で凍結すると、すが入り、黄色く変色してしまう。ところが、同社の超高速冷凍機を使用すると、わずか10分で凍結できるため、たん白質の分子と水分の分子が結合したまま凍らせることができ、食感やおいしさを維持できる。賞味期限は従来の40日から1年になる。

この技術を活用して「豆腐バー」を業務用でも上市し、インバウンドに対応する。劣化を抑えつつ長期保存ができるため、店舗での食品ロス削減にも貢献できる。

池田社長と嶋マーケティング本部本部長によるトークセッションでは、日本のPBF市場について、池田社長は「伸長しているが鈍化していると捉える人もいる。一方『豆腐バー』は伸びている。『豆腐バー』は豆腐から作っており、豆腐こそ元祖PBFだ。アサヒコが牽引し、日本式で大きくなると考えている」と述べた。

嶋マーケティング本部本部長は、「『豆腐バー』は大成功している一方、大豆ミートはくすぶっている見方もある。しかし、食べている人はいずれも植物性たん白質を摂りたい人だ。両方ともポテンシャルがある。形、シーン、場所を整えれば成長の余地がある」と話した。

今後の展望について、嶋マーケティング本部本部長は「場所、シーン、形を変えれば無限にPBFの領域が広がる。胸ふくらむ気持ちだ」と期待する。池田社長は、「来年には累計1億本販売を狙いたい。またプラントフォワード事業の売上構成比を3年以内に半分にしたい」と目標を掲げ、「豆腐や大豆には無限の可能性がある。2人でタッグを組み、海外市場にも舵を取りつつ、日本のPBFを広げていきたい」と意気込む。

〈大豆油糧日報2024年4月1日付〉

媒体情報

大豆油糧日報

大豆と油脂・大豆加工食品の動向を伝える日刊専門紙

大豆油糧日報

大豆から作られる食用油や、豆腐、納豆、みそ、しょうゆを始めとした日本の伝統食品は、毎日の食卓に欠かせないものです。「大豆油糧日報」では、発刊からおよそ半世紀にわたり、国内外の原料大豆の需給動向、また大豆加工食品の最新情報を伝え続けております。昨今の大豆を巡る情勢は、世界的な人口増大と経済成長、バイオ燃料の需要増大により、大きな変化を続けております。一方で、大豆に関する健康機能の研究も進み、国際的な関心も集めています。そうした情勢変化を読み解く、業界にとっての道標となることを、「大豆油糧日報」は目指しています。

創刊:
昭和33年(1958年)1月
発行:
昭和33年(1958年)1月
体裁:
A4判 7~11ページ
主な読者:
大豆卸、商社、食用油メーカー、大豆加工メーカー(豆腐、納豆、みそ、しょうゆなど)、関係団体、行政機関など
発送:
東京、大阪の主要部は直配(当日朝配達)、その他地域は第3種郵便による配送 *希望によりFAX配信も行います(実費加算)
購読料:
3ヵ月=本体価格29,700円(税込)6ヵ月=本体価格59,044円(税込)1年=本体価格115,592円(税込)