【食用油の市場動向】価格改定の完遂が最重要課題、中東紛争で安定調達も懸念
食用油市場の最重要課題が引き続き価格改定の完遂であることに変わりはない。直近の4月からの改定は昨年9月分の未改定分の再アナウンス的な位置付けだが、コスト環境はさらに悪化していることから、仮に全て通ったとしても十分ではない。中東紛争の影響分も含まれておらず、今後バイオ燃料需要がさらに高まっていくのも確実だ。すでに6月からの価格改定をトップメーカーである日清オイリオグループが先陣を切って発表しており、同様の厳しい搾油環境から各社が続くのは間違いない。もちろん安定供給を続けていくためにも不可欠だ。そういった環境下、家庭用食用油市場の25年度(25年4月~26年3月)実績は金額、物量とも前年度を下回る見込みだ。新商品では引き続き市場拡大しているこめ油のブレンド商品が目立つ。
製油メーカー各社は24年10月、25年4~5月と9月、今年に入って4月から価格改定を行った。従来の食用油の改定理由であった原料相場や為替だけでなく、物流費やエネルギーコスト、包装資材費などサプライチェーン全体のコスト上昇、業界特有の「オイルバリュー」が異常値まで上昇するといった複合要因から理解を求める説明が必要となり、交渉は難航を余儀なくされていた。各社とも昨年9月分に関しては必要な改定幅には未達と聞かれ、4月分は昨年9月の再アナウンス的な位置付けで行われたもようだ。ただ、昨年の発表時点からコスト環境はさらに悪化していることから十分なコスト吸収とはならず、中東紛争の影響分も含まれていない。4月に実施を発表した3月上旬時点ですでに、次の価格改定の可能性に触れていたところもあったが、「追加の価格改定に言及したのは恐らく初めて」(製油メーカー幹部)。
世界的な油脂需要の増加に加えて、3月27日には米国環境保護庁(EPA)のバイオ燃料混合義務量引き上げが正式に決まったことで、大豆油の需要増は確実視される。「2020年以降はフェーズが変わっていると捉えている。ボラティリティの振れ幅が大きく、角度も急で、拡大期に突入している」(製油メーカー幹部)。
先行きの見通せない中東紛争の影響で、生産資材などの安定調達も懸念され、油脂製品の安定供給にも影響が出てくる可能性も出てきている。一部の資材メーカーからはすでに、資材が足りないという声も上がり始めているという。
〈家庭用は金額・物量いずれも減少、市場拡大続くこめ油のブレンド新商品目立つ〉
厳しいコスト環境の中、25年4月~26年2月の家庭用食用油の市場規模は金額ベースで前年同期比4.4%減の1,560億円、物量は4.7%減の23万2,000tと、いずれも減少した(日清オイリオグループ推計)。物価上昇による節約志向・生活防衛意識の高まりの影響や、米価上昇で麺類やパスタ系の一品料理の出現が増えた影響で食用油を使用する副菜の登場回数が減少したことも市場縮小の要因となったとみられる。4月からの価格改定前の駆け込みや、3月中旬にガソリン価格の上昇が一斉に報道された影響もあり、「一週間ほど1.5~2倍の数量の伸びがあった」(製油メーカー幹部)。そのため、25年度は前年並みに届かないまでも、上振れして着地したとみられる。
カテゴリ別の2月までの金額動向は、いわゆる汎用油(25年度から酸化対策をプラス)が9.6%減の395億円となった。物量も8.8%減となった。一方、こめ油は3.3%増と伸びは鈍化しつつも引き続き市場が拡大し、金額面では165億円とキャノーラ油(249億円)の3分の2を占めるまでになり、存在感を高めている。
付加価値型を見ると、オリーブ油は1.6%減の430億円と前年を割った。物量は5.7%増と回復の兆しはあるものの、単価下落の影響が大きかった。サプリ的オイルは12.1%減となったが、メディア報道の影響で大幅伸長した反動によるもので、一昨年比では18%増と市場拡大のトレンドは継続している。ごま油は2.5%減の307億円で他の油種カテゴリと比べると堅調と言える。物量も2%減にとどまっている。
新商品では、市場拡大が続くこめ油のブレンド商品が目立つ。キャノーラ油とのブレンド商品は、手ごろな価格で提供することで間口を広げ、汎用的に使われることを目指す。とうもろこし油とのブレンドは、それぞれが持つ風味・コク・甘さといった特徴を余すことなく活かした商品として訴求する。
〈大豆油糧日報 2026年2月28日付〉







