シンガポールでシェフ開発メニュー公開、SNSでの情報発信も/北海道味噌醤油組合
北海道味噌醤油工業協同組合の輸出強化の取り組みが、結果を出し始めた。コロナ明け(23年5月)から、農水省の補助金を活用し、シンガポールで、日本食レストランのシェフにメニュー開発を依頼し、彼らによって開発されたメニューを公開する場を設け、販売促進や認知度向上に取り組んだ。輸出額は20年の1億2,100万円から22年には1億3,490万円に拡大した。31年の目標である2億6,000万円の達成に向けて、同事業をさらに盛り上げる企画を練っている。そこで、同組合の健名佳代子氏に、これまでの取り組みと、これからの予定について聞いた。
「農水省の補助事業としての取り組みは今年で3年目になる。23年度は台湾での試食会や商社への商談を行った。飲食店へのPR事業はシンガポールで開催した。会場には、飲食店関係者だけでなく、インフルエンサーも招待し、北海道のみそやしょうゆを使った料理を試食してもらうことで、SNSによる情報発信を行い、認知度向上に取り組んだ」。
一方、日本国内の取り組みとしては、中国をターゲットに、どの地域がどういった味を好むかをリサーチした。広い中国は地域ごとに好みの味が違うので、北海道のみそやしょうゆがどこの地域にマッチするかを知るために試食会を行ったという。
「上海は甘いしょうゆを好むが、北海道は本醸造や昆布の入ったしょうゆが主流だ。試食会でのリサーチはミスマッチが起こらないように、今後の商談における必要な知識として活用できる内容となった」と話す。
また、試食会では、「ふかひれの姿煮は通常しょうゆで味を付けるが、白みそで試したところ、クリーミーな味わいでマッチした」とし、新しい発見を見つけることができたとも主張する。さらに、「北海道」ブランドは中国人にとって、魅力的であり、安全安心を担保するキーワードでもあるようだ。
「この試食会では、どこの地域がどんな味を好むのかを知ることができた。BtoBやBtoCの可能性を探り、どんなパッケージが好まれるのかなど、さまざまな事を確認することができた」とし、マーケティングの大切さを痛感した。今後の商談に生かせる内容であったことも収穫だったと話した。
〈台湾でBtoCでの展開を強化、販路開拓を計画、訪日外国人の多いニセコでも試食会〉
今後の予定では、台湾におけるBtoCでの展開を強化していく。
「北海道のみそやしょうゆに興味をもっていただいた人に、『この商品はこちらで購入できます』といった案内ができるように、小売店の棚を確保していきたい。購入する場所はQRコードを添付して誘導していく」とし、販路開拓を進める計画だ。
試食会に招へいする人数を増やし、北海道のみそやしょうゆの認知度を高め、商談に持ち込んで、商流作りにも取り組むとしている。
「中国の海南島というリゾート土地に行って、現地の飲食店協会やバイヤーなどに北海道のみそやしょうゆを説明し、認知度アップや実際の商談につなげていきたいと考えている」。
また、北海道は訪日外国人も多いことから、ニセコの観光スポットにイートインのできるスペースを設けて、みそやしょうゆを塗ったおにぎりや、みそ汁をふるまい、北海道ブランドの認知向上につなげていきたいとする計画も進行中だ。
健名氏は、「国内需要の減少を補っていける目標を設定している最中だが、輸出金額を現状の倍増になるような目標をイメージしている」。
〈大豆油糧日報2024年9月6日付〉