【注目のしょうゆメーカー】創業200年、白しょうゆ国内出荷量トップ、コロナ後は新商品開発のプロジェクトを立ち上げ、新規開拓にも取り組む/キノエネ醤油

キノエネ醤油「白しょうゆ」
キノエネ醤油「白しょうゆ」

キノエネ醤油が国内出荷量トップの白しょうゆは、うすくちしょうゆより更に色の薄いしょうゆで、業界内でも色の薄さには定評がある。創業200年と長く続けている秘訣は何か。

山下雄三郎常務取締役は、「今までご愛顧いただいている消費者や取引先のおかげで成り立っている。地元の人や従業員に支えられている。従業員は100人程度と多いが、他社と比べると、機械化できていない分、人手がかかるのが現状である。新商品に関してはプロジェクトを立ち上げ進めている最中だ。コロナ禍の時は開発が止まってしまったが、ここ数年で急速に新商品を開発し、世に送り出している」と説明する。

山下雄三郎常務取締役
山下雄三郎常務取締役

また、同社の総務部総務課の吉永貴彦主任によれば、「販売は一般家庭向けというよりは、味にこだわって、しょうゆと酒とみりんを自身で調合される料理人に向けて販売している」とプロ仕様のしょうゆを主に扱っている。白しょうゆは発酵食品のため、塩よりも、うま味が感じられるのが大きな特徴だ。そのため、販売先は主に和洋中の外食店に販売している。

「和食では、お吸い物や茶碗蒸し、漬物などに使うと味が一段引きあがる。卵や牛乳、生クリームにあえてもいいので、クラムチャウダーやシチューなど洋食にも使用することができる。中華では、餡や卵に使ってもらっている。塩を使う料理であれば、何にでも使用することができる」と吉永主任は話す。

吉永貴彦主任
吉永貴彦主任

「コロナ禍では、外食需要が落ち込んだ時に、SNSを開設して、一般家庭ともコミュニケーションを強化しようと、アンバサダー制度を導入し、ファンづくりに取り組んだ。白しょうゆは、一般の人には馴染みが薄いので、『白だし』や『白ぽん酢』といった商品を開発して、レシピ提案を試みた。現在は直販や百貨店のデパ地下などで購入できるが、ゆくゆくはスーパーでの販売も開始したい」と一般家庭向けの販売を強化に意欲を見せている。

〈「白ぽん酢」が調味料選手権の2022年大会で総合3位に入賞、大きな話題に〉

「『白ぽん酢』は、日本野菜ソムリエ協会が主催している調味料選手権の2022年大会で総合3位になった。それがテレビや新聞などに取り上げられ、大きな反響を得ることができた」(吉永主任)。

評価ポイントは、白ぽん酢は、通常のぽん酢に比べて、色合いがきれいで、いつもとは違う味付けができるところが、「インスタ映え」すると評判になったという。「味もお酢の酸っぱさではなく、柑橘果汁が多めに入っているので、普通のぽん酢とは一風違った味が楽しめ、リピーターも多い」(吉永主任)と紹介する。

ここ数年の原料高に対しては、「値上げの話を進めていることから、売上は上がっているが、販売数量は前年を下回って推移している。リピーターが戻ってきていただければ、ベースアップが期待できる」(山下常務)。

新規開拓にも意欲的で、「一番の特徴はしょうゆでありながら、色が薄いので、仕上がりがとてもきれいにいく。SNSではレシピの写真が映えるので、レシピと一緒に情報を発信することで、消費者や販売店からの問い合わせもあり、新規開拓につなげている」(吉永主任)。

〈大豆油糧日報2024年10月17日付〉

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昭和33年(1958年)1月
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