【豆腐屋サミット】技術や知恵、豆腐を未来へつなぎたいという思い共有する機会に

「ニッポン豆腐屋サミットin 盛岡」
「ニッポン豆腐屋サミットin 盛岡」

全国豆腐連合会(全豆連)がこのほど、岩手県で開催した「ニッポン豆腐屋サミットin 盛岡」では、日本の豆腐文化を守る議員連盟の会長を務める林芳正衆議院議員が3年ぶりに出席し、初開催の「わんこ豆腐選手権」にも飛び入り参加した。同議員連盟幹事長の片山さつき財務相も駆けつけた。北東北トークセッションでは、岩手県知事と盛岡市長、盛岡南部家第46代当主が豆腐をテーマに話し、盛岡市の豆腐消費金額日本一の奪回を目指すと宣言した。

サミット開会にあたり、東田和久会長(久在屋社長)は、「豆腐屋サミットの目的は、豆腐屋の誇りを高めることにある。現在、スーパーやドラッグストアでは安価な豆腐が数多く販売されている。必要とされているからこそ販売されている。一方で、豆腐屋サミットには、自分の味の豆腐、自分が作りたい豆腐を探求する豆腐屋が集まっている。明日はもっとおいしい豆腐を作りたい、あさってはさらにおいしい豆腐を作りたい、1年後にはもっと良い豆腐を作りたいという思いを持った人たちだ。全国豆腐品評会の結果を楽しみに参加している人も多いと思う。喜ぶのは一部の人、ほかの人は悔しい思いをするかもしれないが、その悔しさが次の豆腐づくりにつながる。しっかりと情報を収集し、自分の身になる2日間にしてほしい」と述べた。

平野隆実行委員長(平安商店社長)は今回のサミットのテーマを「TO THE FUTURE 豆腐、未来へ」と紹介した。

その上で「豆腐は、日本人にとってあまりにも身近な食べ物である。だが、この一丁の中には、大豆を育てる生産者、良い素材を見極める人の目、職人が長年培ってきた技、地域で受け継がれてきた食文化が詰まっている。同じ豆腐でありながら地域によって味も個性も異なる。今回、全国、海外から仲間が岩手に集まったことは、単に豆腐について語り合うだけでなく、互いの技術や知恵、豆腐を未来へつなぎたいという思いを共有する大切な機会だ。伝統は守るだけではない。先人から受け継いだものを大切にしながら、新しい発想を取り入れ、次の世代へバトンを渡していくためには、私たち自身がつながり、挑戦していくことが必要だ。今回のサミットを通じて全国の豆腐屋のつながりがさらに強まり、日本の素晴らしい豆腐文化が次の世代、その先の未来へと受け継がれていくことを願っている」と述べた。

○豆腐は世界に誇るべき健康食、1万円の豆腐が出てくる時代を実現して欲しい

林芳正衆議院議員は祝辞で、「2012年に農林水産大臣を務めていた頃、地元企業のヤナギヤから豆腐業界の話を聞いてほしいと依頼があった。話を聞けば聞くほど、これは取り組まなければならないと感じた。その後、こうした問題に取り組むために議員連盟を作れないかという相談があり、豆腐議連の活動が始まった。品評会と同じくらいの歴史になる。当時の相談の一つが、取引相手であるスーパーの力が強く、豆腐をなかなか高い価格で仕入れてもらえないという問題だった。そこで、農水大臣時代に作ったGI、地理的表示保護制度の話などをしながら、どうやって豆腐に付加価値を付けていくかについて、公正取引委員会、農水省、厚労省などに集まってもらい議論してきた。皆さまの努力、品評会やサミットなどを通じて、1丁700円の豆腐も出てきたと聞く。少しずつ成果が出てきていると感じている。日本酒も当時は1本1万円と聞けば驚く状況だったが、今では2万円、3万円の商品も出てきている。豆腐にも、まだまだ伸び代がある。KARAOKE と同じようにTOFU だと思うが、世界に誇るべき健康食だ。植物性の良質なたん白質をもっともおいしい形で、さまざまな料理に合うよう変幻自在に食べることができる。このサミットを契機に、さらにもっと上を目指してもらい、そのうち1万円の豆腐が出てくることを、私が生きているうちに実現して欲しい」と話した。

○知事・市長・当主トークセッション、消費金額1位奪還し豆腐のまち盛岡取り戻す

岩手県知事の達増拓也氏、盛岡市長の内館茂氏、盛岡南部家第46代当主の南部利文氏によるトークセッションは、司会者からの質疑に各氏が答える形で進められた。

南部氏、内館氏、達増氏
南部氏、内館氏、達増氏

――豆腐はどのくらい食べているか

達増 みそ汁やいろいろなおかずの中で、毎日食べている。

内館 現在60歳だが、豆腐はこれまで約9,000丁は食べている。必ず朝に3分の1から半丁食べて、夜は1週間に2丁ほど食べている。年間150丁なので計算するとそうなる。最近は豆腐を温めて、牡蠣しょうゆとラー油をかけて食べているが、非常においしい。

南部 一番おいしいのは、熱燗と一緒にしょうゆを少し垂らす食べ方で、ほぼ毎日お酒を飲んでいるので豆腐も毎日のように食べている。

――豆腐の栄養価や健康面について

達増 最近は高齢者も筋肉を鍛えた方がいいと言われ、子供からお年寄りまでたん白質を摂ることが重要だと言われている。肉もいいが、いろいろな課題がある。一方、植物性たん白の豆腐にはない。米国に留学していた1990年代に、健康食として豆腐に注目する人もおり、アジア系の食品店などでは長期保存できる紙パック入りの豆腐も販売されていた。現在は健康もあるが、日本文化全体を楽しみたいという中で、豆腐を日本に来て食べてもらい、自分の国でも食べてもらっている。岩手の豆腐を外国人にも食べてもらう工夫をしていきたい。

――南部家は岩手・盛岡においしい豆腐を持ってきてくれた立役者だ

南部 盛岡は江戸時代からかなり寒く、米が採れない地域だったので、大豆の栽培が奨励されていた。東北、岩手の南部藩で豆腐が作られていた。参勤交代で殿様が江戸に行くと、江戸にはおいしいものが集まっており、おいしい豆腐もあった。江戸から豆腐職人を盛岡に連れて帰り、おいしい豆腐が作られるようになったという流れがある。かなり古い時代から、盛岡ではおいしい豆腐が食べられていたのではないか。

達増 岩手では日常的に豆腐を食べる習慣がある。スーパーには多くの種類の豆腐が並んでおり、小さい頃から親と買い物に行くと必ず豆腐を買って帰り、冷蔵庫には野菜や卵と並んで豆腐があるのが普通だった。南部の殿様が職人を呼んでくれたためか、盛岡には普通の冷ややっことは違う、寄せ豆腐という、丼ぶりくらいの大きさの器に寄せたまま入れた高級豆腐を食べる習慣がある。盛岡だけでなく県北でもロードサイド店で販売されている。県北と言えば、豆腐田楽もある。大きい豆腐にニンニクみそを塗り、竹串に刺して炭火などで焼いて食べる。もともとは行事の際に食べられていたようだが、現在は道の駅などでも販売されている。岩手では豆腐の量を多く食べる習慣と、質の高い豆腐を楽しむ習慣の両方がある。

南部 私のいた大学でちょうど「華麗なる宮中晩餐会の世界」という特別展を実施している。宮中晩餐会に出たことはないが、昔はフランス料理のフルコースだったが、令和の時代からは和食を献上するようになったようだ。資料を見ていると、豆腐のメニューがあった。宮中の晩餐会でも和食の代表として豆腐が使われている。皆さんにも自信を持って豆腐を発信してもらいたい。

――最後に一言ずつ

達増 スーパーで売っている豆腐を日常的に多く食べることに加え、豆腐屋が腕によりをかけて作った独特の豆腐も、いろいろ食べてみることが大事だと思う。岩手県内の豆腐屋を訪ねてもらい、食べてもらいたい。道の駅や産直施設などでも食べることができる。その良さを外国の人たちにも広げていきたい。

内館 盛岡には寄せ豆腐や岩豆腐などがあり、豆腐は魂のようなもの。消費量や購入金額が全国で一番多いのは当たり前のことだと思っていた。他の地域に1位を取られるのは少し悔しい。盛岡市では2日前から宿泊税を導入し、観光に全て投入することになっている。豆腐の消費金額1位を奪還し、豆腐のまち盛岡を取り戻したい。

南部 豆腐は江戸時代から南部藩で愛されてきた食べ物で、伝統文化の一部になっている。こうした文化を次の世代に伝えていかなければならない。それには豆腐屋の皆さんの力が必要だ。みんなで豆腐を盛り上げ、全国から集まってくれた皆さんの力も借りながら、盛岡が再び1位になれるよう頑張っていきたい。

○「わんこ豆腐選手権」中部が優勝、太子食品工業が充填豆腐提供、イージーピール好評

わんこ豆腐
わんこ豆腐

初企画となる「わんこ豆腐選手権」では、北海道から九州・沖縄までの8地区と、台湾からの視察メンバーが参加した海外枠、「議連の名誉にかけて」と林衆議院議員が参加した当日参戦枠を含めた10組で競われた。3分間で最も多くの充填豆腐を食べたチームが優勝となる。選手は給仕係と途中交代が認められ、フードロス削減の観点から食べ切ってからフィルムを空けるルールで行われた。なお、充填豆腐は太子食品工業が提供し、イージーピールで開封しやすいと好評だった。1位を獲得したのは、12個を完食した中部のにこや本店の沓名剛氏で、「一週間練習してきた」とコメントした。想定以上に盛り上がったことから、来年も行われることが決まった。

その後、中締めのあいさつは太子食品工業の工藤卓伸専務取締役企画本部本部長が行い、一丁(一本)締めが行われた。

〈大豆油糧日報2026年10月19日付〉