食品産業55年のあゆみ
「食」の発展は人や社会、未来を豊かにする。
食品産業技術功労賞は
半世紀以上にわたり、
業界と共に歩みを進めてきました。

エスビー食品は1970年に、日本初のチューブ入り香辛料
「洋風ねりからし」を発売した
1970昭和45年〜
即席食品の普及と家庭の変化
高度経済成長を背景に、即席麺やレトルト食品、粉末スープなどが家庭に急速に広がった時代。外食や洋食文化の浸透も進み、忙しい都市生活に適した手軽な加工食品が支持を集めた。一方で、学校給食では米飯が復活するなど、和食回帰の動きもみられ、食生活の多様化が始まった。家庭の食卓に“便利さ”という価値が本格的に根付いたのがこの時期だ。

アサヒスーパードライは1987年3月に販売が開始され、
景気浮揚期に重なり大ヒット商品となった
1980昭和55年〜
多様化する食と健康ニーズ
バブル景気を背景にグルメブームが到来し、食品市場は高級志向と多様性が進展。冷凍食品やチルド惣菜などの品質が向上し、家庭用だけでなく弁当・ランチ需要にも対応する商品が相次いで登場した。一方で、生活習慣病への関心の高まりとともに、減塩や低カロリー、食物繊維強化などの“健康訴求”食品・飲料も登場し始め、機能性への期待が芽生えた。

伊藤園は1990年3月、世界初となる
ペットボトル入り緑茶飲料(1.5リットル)を発売した
1990平成2年〜
無糖飲料と中食文化の台頭
バブル崩壊により生活防衛意識が強まり、家庭回帰の傾向が顕著に。コンビニの拡大とともに弁当・総菜など“中食”の利用が日常化し、家庭と外食の中間に位置する新たな市場が形成された。飲料ではペットボトル入りの無糖茶が急成長し、カロリーを気にせず飲める健康的な選択肢として定着。利便性と健康の両立が食品選びの重要な指標となった。

1925年に瓶容器で発売されたキユーピー マヨネーズは
容器形態を変え、2005年には発売から80年を迎えた
2000平成12年〜
ネット時代の個食と高付加価値化
インターネット通販の普及により、地方の特産品や高価格帯の加工食品・飲料を自宅で楽しむ「お取り寄せ」文化が定着。働き方や家族形態の変化により“個食”も進み、個々のライフスタイルに応える商品の開発が活発化した。プレミアム感や限定性を訴求する高付加価値商品、簡便と品質を両立したシリーズ展開など、差別化競争が本格化した時代でもある。

ふりかけを代表するブランドのりたまは、
2015年に発売55周年を迎えた
2010平成22年〜
健康・時短・環境への注目高まる
人口減少や共働き世帯の増加を背景に、時短・簡便ニーズがさらに高まり、冷凍食品やレトルトの高機能化が進んだ。機能性表示食品制度の開始(2015年)は飲料やヨーグルトなどの健康志向に応える商品の拡大に拍車をかけた。また、プラスチックごみや食品ロスへの関心が急速に高まり、環境対応パッケージや賞味期限の見直しといったサステナビリティ対応への関心が業界全体で高まった。好みや生活スタイルに合わせた商品提案や小容量商品の強化も進み、生活者ニーズの細分化に応える食品開発が本格化した。

戦後の復興を支え、日本のカレー文化の発展に貢献した
赤缶カレー粉は、2020年に発売70周年を迎えた
2020令和2年
コロナ禍により自宅で楽しめる
食品・飲料が注目される
手軽に贅沢な味わいが楽しめる商品や健康的な生活を応援する商品、地球環境にも優しいエシカル消費対応の商品が増えた。調理時間を短縮できるレンジ調理対応、混ぜるだけで完成する簡便な食品も目立った。コロナ禍ということもあり、自宅で楽しめる食品・飲料に改めて注目が集めた。

キユーピーは2021年6月、国内食品メーカー初の
代替卵食品「HOBOTAMA」を発売した
2021令和3年
代替卵など持続可能な社会に向けた
商品・サービスが登場
コロナ禍で在宅調理のニーズが高まったことから、独自技術により誰でも簡単に作れる商品や、外食店のような味わいが楽しめる商品が目立った。災害時にも役立つ長期保存可能な商品の提案もみられた。健康志向に応える商品・サービスも増え、アルコールを飲む人も飲まない人も適切に楽しめる飲み方の提案や、代替卵など持続可能な社会に向けた食品も登場。

パウ・オープナー分解洗浄型は、
開袋工程における重筋作業を自動化し、
工具レスで分解清掃が可能
2022令和4年
社会課題の解決に貢献する
商品や活動が増加
独自技術を背景にした先進的な取り組みにより、健康や環境、人手不足への対応など、社会課題の解決に貢献する商品や活動に注目が集まった。コロナ禍の在宅時間を充実させる提案として、簡便に外食のような味わいを提供する商品が登場。健康的な生活を応援する機能的価値を持つ食品や飲料の提案も活発化した。

エスビー食品の創業100周年となる2023年に、
赤缶カレーパウダールウが発売され話題を呼んだ
2023令和5年
プラントベースフードや
簡便調理品が充実
水産代替品など新しいおいしさを提案する商品をはじめ、近年注目されるプラントベースフード(PBF)の商品、簡便商品、機能的価値を持つ商品が増え、これらを若年層へ訴求する動きが広がった。地球環境への配慮といったサステナブルな視点、「物流2024年問題」への取り組みなど、社会課題の解決に貢献する提案も増えた。

キユーピーグループでは、
卵殻のすべて(約2万8000トン)を
さまざまな用途で活用し、再利用している。
2024令和6年
生活者の潜在ニーズをとらえた
提案が活発に
「コスパ」や「タイパ」志向に応える冷凍食品のほか、健康的な生活を支える食品や飲料など、生活者の潜在ニーズをとらえた商品が数多く誕生。環境への配慮や地域貢献、国産原料の活用など、持続可能性を見据えた動きも広がっている。また、人手不足解消に対応する資材・機器、システムの提案、日本が誇る味わいや品質を海外で展開する取り組みもみられた。

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