【USSEC主催・米国視察〈2〉】Non-GMO食品用大豆の作付面積は180万A前後、食品用大豆の82%が輸出、最大市場は日本で34%、豆乳・納豆・みそ用の作付増
USSEC主催の米国視察で本紙が参加したコモディティチームは、8月3日にポートランド国際空港からシアトル・タコマ国際空港を経て、シカゴ・オヘア国際空港に到着した。翌4日の午前中、本紙はフードチームとともに、イリノイ州シカゴ市内のホテルで開催された「ソイフードセミナー」に参加した。同セミナーではNon-GMOの大豆の作付状況、大豆の育種技術の進化や食品大豆のデータベースの紹介、輸出業者と大豆生産者とのパネルディスカッションが行われた。なお、フードチームの団長は埼玉糧穀の相原宏一朗社長が務め、USSECの立石雅子日本副代表と全国納豆協同組合連合会の長谷川健太郎会長(日東食品社長)、オーケー食品工業、カジノヤ、富岡食品、ハウス食品グループ、丸美屋の代表者が参加した。
USSECのウィル・マクネア食品・油脂ディレクターの講演では、米国のNon-GMOの大豆の生産動向についてプレゼンが行われた。USSECは毎年、大豆食品の輸出業者の大半と、食品用大豆の生産農家100人以上を対象に調査を行い、米農務省の関連データも利用し、市場を把握しているという。「今回の調査はつい先ほど完了したばかり」だという最新の情報を届けた。
マクネアディレクターによると、今年の米国の大豆作付面積は約8,500万Aと予想されている。そのうち Non-GMO の大豆の作付面積は320万Aから430万Aに増加した。食品用と飼料用の両方が含まれており、特に飼料用の面積が大きく増えている。食品用面積についても25年の150万Aから210万Aへと増加が報告されているいうが、「現実的には180万A前後ではないかと思う」と補足した。
Non-GMO の大豆の大部分は事前契約で栽培されており、その多くが輸出向けだ。25年のデータでは、Non-GMOの食品用大豆の82%が輸出され、18%が国内に残ったことになる。「近年は米国内の大豆食品市場もかなり成長している」としており、豆腐、豆乳、その他の製品などに使われているもようだ。
最大の輸出先は日本で約34%を占め、韓国が約19%、台湾が約14%と続き、タイ、EU、マレーシア・シンガポール、中国、フィリピン、ベトナム、インドネシアなどに輸出されている。
用途別の作付面積の推定比率も示した。食品用大豆の作付面積を約180万Aとした場合、推計で豆腐用が41%、豆乳用が21%、納豆用が14%、みそ用が9%としている。「毎年ほぼ同じ傾向が確認されているため、比較的確度は高い」とした。26年は豆腐用の作付面積がわずかに減り、豆乳用、納豆用、みそ用の割合がやや増えたと推定する。「これは市場パターンの変化、特に日本向け輸出の変化を反映している」と所感を述べた。
〈サプライヤーは大豆の約91%が事前契約、農家の栽培の約76%が契約で生産〉
26年産Non-GMOの大豆の契約済み面積は約147万Aと推定され、飼料用面積が大きく増えている。増えた理由を業界関係者にヒアリングすると、酪農市場におけるNon-GMOの高オレイン産大豆の利用の増加が拡大理由の一つで、乳脂肪分を増加させるため、飼料全体のコストを下げることができると説明されたという。主にヨーグルトや牛乳などの原料乳を生産する用途で使われている。「Non‐GMO の高オレイン酸大豆は、米国で酪農用としても、食品用としても今後成長する可能性がある」とした。
マクネアディレクターは最も重要な点として、調査対象となった農家のほぼ全員がGMOの大豆とNon-GMO の大豆の両方を栽培していることを挙げた。Non-GMO 専業で栽培する農家もいるが、一般的にはリスクを分散するために両方を組み合わせているという。サプライヤーによると、毎年調達する大豆の約91%が事前契約されている。契約は農家と直接結ばれ、米国のサプライヤーは8月から10月にかけて、翌年に栽培する大豆について農家と契約を始める。「各国の参加者が今ここにいるのは非常に良いタイミングだ」と話した上で、サプライヤーと話をすることを呼びかけた。
27年に入ると契約可能な面積は急速に減っていき、必要な面積を確保すること自体が難しくなるため、早い段階から話し合いを始めることを推奨した。農家が栽培する大豆のうち、約76%は契約に基づいて生産されており、サプライヤーに販売する大豆のほぼすべては、事前契約によるものだ。
農家が受け取るプレミアムについても説明した。USSECでは毎年、Non-GMOの食品用・飼料用大豆を栽培する100人以上の農家に、どの程度のプレミアムを受け取ると予想しているかについてヒアリングしている。プレミアムは、農家がサプライヤーの施設に大豆を納入した際に受け取る農場渡しの上乗せ額で、26年に農家が受け取るプレミアムは平均で1bus当たり$2.72(25年は$2.57)だった。ただ、栽培する大豆によって$1~10まで幅があったという。例えば、収量が少ない納豆用品種の場合、農家にはより高いプレミアムを支払う必要がある。一方、収量の高い大粒の豆腐用品種であれば、プレミアムは低くなる可能性がある。
農家に支払われるプレミアムとは別に、サプライヤーが大豆を調達して選別し、届けるための追加コストがある。さらに重要なのが、追加のリスクだという。輸出業者やサプライヤーは、買い手と契約した数量に対して、平均で約20%多く農家と契約する必要がある。需要者が必要とする品質基準を確実に満たすためだ。天候や品質の問題が発生する可能性があり、追加分を確保しなければならない。この追加リスクも、米国のサプライヤーに支払うプレミアムに含まれていると説明した。
〈最大リスクは品質、サプライヤーは必要量の約23%多く契約、プレミアム発生理由に〉
Non-GMO の栽培上の負担についても説明した。農家の約44%は、GMOの大豆とは異なる栽培方法を採用していると回答している。最も大きな違いは除草剤の使用方法だ。
Non-GMOの大豆でも非常に高い単収を上げる農家がいるものの、農家の30%がNon-GMOの大豆には単収減があると回答している。品種や地域によって異なるが、単収減があると答えた農家では平均で約5%の減収だった。この5%分を補う必要があることも、プレミアムが必要な理由の一つだという。
Non-GMOの大豆の生産コストは農家によって異なるが、農家の37%は Non-GMOの大豆の方が高コストだと回答しているという。追加コストが発生する理由として、異なる除草剤の使用というのがある。また特に今年はディーゼル燃料が高くなっている。ほ場で追加の作業を行う必要がある場合はコストが増えることになる。Non-GMOの大豆の栽培には、いくつかのリスクがあり、農家の57%は雑草を主要なリスクとして挙げている。
また、調査対象の農家の約50%は、作物を多様化するために、別の高付加価値作物を栽培する選択肢があると答えている。「農家にNon-GMOの食品用大豆を栽培してもらうには、小麦など他の作物を栽培するよりも、収益面で魅力がなければならない」とした。
27年のインプット(投入)コストについても言及した。農家の多くは上昇すると予想している。特に燃料費は上昇しており、農家の生産判断に影響しているという。
今回の調査では、複数のサプライヤーからも情報を集めたという。26年のNon-GMOの大豆の購入量は前年とほぼ同じ、または少ないと答えたサプライヤーが多く、10%が購入量を増やした。
サプライヤーが、需要者が必要とする品質の大豆を調達する際には、品質、市場の不確実性、供給の確保など、多くのリスクがある。25年から26年にかけて最も大きく増えたのは、市場の不確実性だった。25年に市場の不確実性をリスクとして挙げたサプライヤーは18%だったが、現在は44%に上昇している。
とはいえ、「最大のリスクは引き続き品質で、契約どおりの大豆を確実に調達できるかどうかが、最も大きな問題となる」と強調した。サプライヤーは品質の高い大豆を提供するため、必要量を上回る大豆を契約しており、平均すると必要量より 23%多く契約しているという。単収や品質、そのほかの問題が起きる可能性があるため、必要な大豆を確保するには、契約量を上積みしなければならないことも、プレミアムが発生する理由の一つだ。
〈大豆油糧日報2026年8月24日付〉







