【USSEC米国視察〈9〉】雑草がほとんどない Non‐GMO 大豆畑-シュワルツ・F
本紙をはじめ「ソイコネクスト」に参加した食品チームは8月7日、オハイオ州のシュワルツ・ファームの農場を視察した。同社に2013年から2年間駐在した埼玉糧穀の相原宏一朗社長により、同社の概要と取り組みについて説明が行われた。
相原社長によると、同社の強みは栽培から出荷までの一括管理により、非遺伝子組み換え(Non‐GMO)の大豆の安定供給と品質の確保を実現していることだ。土づくりから出荷までを自分たちで一貫して行っており、17年にはSustainable U.S.Soy (SUSS)マークを業界の中でもかなり早い段階で取得している。Non‐GMO 管理は 99.5%の高純度を維持し、U.S.グレードのナンバー1以上を前提に、それ以上に厳しい自社基準を設定し、Non‐GMO 大豆の安定供給と品質確保を実現しているという。

同社の畑は1万6,000Aで、全てNon‐GMO大豆である。直近 25年産の生産量は、約1万9,000t超の規模となる。Non‐GMOの大豆畑でありながら、雑草がほとんどないのが印象的だった。播種から収穫まで手間のかかる工程を経ており、異物混入対策も徹底されている。自社農場以外に53社のNon‐GMO 大豆を生産する契約農家と提携している。45本のサイロを備え、最大で2万5,000tの大豆の貯蔵が可能だ。
〈埼玉糧穀を通じ初めて海外に出荷、非常に手間のかかる生産は年間を通じて工程管理〉
シュワルツ・ファームはオハイオ州の中でも北部のコートランドに位置する。コートランドは人口約 7,000人の小規模な街で、クリーブランド・ホプキンス空港から車で約90分の距離だ。共同経営者のダン・シュワルツ氏は2代目の農家となる。同社は1998年に埼玉糧穀を通じてNon‐GMOの大豆を初めて海外に出荷した。15年にアメリカ大豆輸出協会(USSEC)のメンバーに加入、日本向けの輸出に必要となる新選別機、色彩選別機、30kg紙袋詰替えロボットを導入し、選別能力を高めた。20年には取引量の拡大に伴い、新サイロを増設した。さらに今年は種子用選別工場が完成する予定だ。
Non‐GMOの生産は非常に手がかかるという。収穫までの年間を通じた工程管理について説明が行われた。まずは排水管の設置だ。3mほどの間隔をあけて地下約2mに傾斜をつけて通すことで、土壌にたまった水分を吸収して流すことができる。直径20cmほどの配管に複数空いている穴から水が中に入り下水へと流れていく仕組みとなっている。

畑の石拾いは発芽の阻害にならないために必要で、ほ場の表面耕作と不耕起は播種性の確保が目的だ。土壌テストは3年に1度行われ、土壌のpHを測定した上で、適切なリンやカリウムなどの石灰を撒く。これにより、農薬の使用量も削減できる。pHは6.4~6.8の値が理想で、テスト済みのところはGPSで管理されている。
土壌改良のために肥料を散布し、1回目の除草剤散布を行う。種子のコーティング作業は菌類や有害細菌の繁殖防止を目的に行われ、動物に食べられることも防いでいる。さらに、種子同士がくっつかないように潤滑剤を混合し、播種の精度を高めている。播種は適正な時期に行う。GPSを用いて撒いた場所を管理するという。この際、除草剤が再び散布される。必要に応じて殺菌剤を散布し、土壌の維持や病原菌の防除を行う。降雨が多いと大豆を餌にするナメクジが発生するため、駆除剤の散布も大量に降雨があった後に撒いている。その後、収穫が行われる。
〈SSAP 認証に基づくサステナブル農法に取り組む、栽培から出荷までを一貫して管理〉
種子の開発・選定についても説明された。シュワルツ・ファームでは、アイオワ州立大学や種子会社のDFSEEDS社やBECK‘S社などから候補品種を選定するという。テストした上で単収結果とユーザーのニーズを考慮して採用品種を決定し、2~3年後に実際に播種することになる。
シュワルツ・ファームでは、土壌保全や輪作、不耕起栽培など、SSAP 認証に基づくサステナブル農法に取り組んでいることも説明された。
出荷までの品質管理体制も紹介された。シュワルツ・ファームでは、栽培から出荷までを一貫して管理し、各工程で品質確認を重ね、Non‐GMOの大豆の品質の安定と出荷体制を支えている。同社が扱うのは全てNon‐GMOだ。収穫大豆の受け入れ前にGMO検査を行い、問題のないものだけを受け入れ、サイロ(写真左上)に保管する。出荷前には異物混入のリスクを厳しく管理している。

選別工程の見学も行われた。選別工場では粗選別の後、色彩選別にかける。昨年、オリバー社のグラビティ選別機を導入した。比重選別に合格できなければ、もう1度選別にかけ、それでもクリアできないものは飼料用となる。合格した大豆は石抜きとマグネット工程を通る。処理能力は5.4t/時で、朝6時30分から作業を開始し、18~20時に終了となる。選別工場はNon‐GMO大豆のみを選別している。


選別完了すると、出荷される。20フィート(ft)と40ft コンテナ、バラ積み、フレコン積み、30kg紙袋で出荷可能だ。コンテナについては、西はロサンゼルス港、東はノーフォーク港に、その時の状況を見て出荷するという。現在、HACCP取得にも取り組み中だ。
バラ積みの大豆はサイロに運ばれ、重量を計測してコンテナに詰めて港に行く。サイロには強力なマグネットが付いており、砂鉄などを除去して出荷している。
〈U.S.グレードのナンバー1より厳しい独自基準設ける、サンプルは保管し追跡可能〉
シュワルツ・ファームの出荷先のメインは埼玉糧穀を通じた日本の大豆加工食品メーカーだ。それと同時にアメリカ国内の豆腐メーカー、そして東南アジア地域もある。出荷形態の6割がバルクで、25%が1tのトートバッグ、15%が30kgの紙袋の比率だ。大豆の規格は基本的にU.S.グレードのナンバー1だが、同社ではそれ以上に厳しい規格となる独自基準を設けている。

契約農家からトラックで運ばれてきた大豆は、サンプルを採取して水分やたん白質、油分を図る。サンプルは保管され、コンピューターでどのトラックで運ばれてきたか追跡管理が可能だという。
その後、農場の視察を行った。ほ場にはSUSS マークの看板が立てられている。フレコンや紙袋などには同マークを付与し出荷している。単収やたん白質の値を見るためのテストほ場では16の品種がテスト栽培されていた。単収差を確認するため、一部GMOの大豆も植えている。シュワルツ・ファームが種子を購入して撒き、単収の違いを確認し、品質が良ければ小さい畑で植え、さらに良ければ栽培面積を大きくするという。相原社長は今後の取り組みについて、「埼玉糧穀はこれまで豆腐用大豆の生産に注力してきたが、最近では納豆用大豆の生産にも力を入れている。さらに、米国における飼料用の高オレイン酸大豆の需要増加を踏まえ、食品市場向けのNon‐GMO高オレイン酸大豆の生産も視野に入れている。日本市場において、納豆用品種や非遺伝子組み換え高オレイン酸大豆の提案を開始した」と話す。

今回の視察を受け入れたシュワルツ・ファームのダン・シュワルツ氏は、「シュワルツ・ファームは、食品用Non‐GMO大豆の生産には、単に作物を育てること以上の要素が必要だと考えている。品質は、適切な品種と生産者を選ぶことから始まり、畑での生産、収穫、保管、加工、検査、そして最終的な出荷に至るまで維持される。あらゆる段階において、お客様のために品種の同一性(アイデンティティ)とトレーサビリティを保ち、一貫した品質を提供することを目指している。私たちはお客様との長期的な関係を大切にし、フィードバックを行い品種選定、生産手法、品質基準の改善に活かしている。今後も生産者、加工能力、品質管理システムへの投資を続け、信頼できる米国産Non‐GMO大豆を供給していく」と意気込みを語る。
〈大豆油糧日報2026年10月5日付〉







