アサヒビール「贅沢搾り」3フレーバー新発売、「圧倒的な果実感」追求

「贅沢搾り」新フレーバーの「桃」「グレープフルーツ」「レモン」
〈「もぎたて」「ウィルキンソン」に次ぐ「第3の柱」へ育てる〉
アサヒビールは3月20日から「贅沢搾り」(500ml/191円350ml/141円)を発売する。フレーバーは「レモン」「グレープフルーツ」「桃」の3種類。

同商品は果実1/2個以上の果汁を使用し、芳醇な香りとみずみずしい果実感を贅沢に楽しめるRTD商品。果実のフルーティさを感じる果肉部の果汁と、果実の自然な苦味や酸味のある果皮部の果汁をブレンドすることで、果実の複雑味とバランスの良い味わいに仕上げた。アルコール度数は4%で飲みやすい中味設計としている。

また、果汁の使用割合を高めることにより発生してしまう不快な香味の原因物質を特定し、その原因物質を抑制する独自技術(特許出願中)を採用することで、豊潤な香りを実現。

パッケージデザインは、缶体上部に「果実1/2個分」(グレープフルーツ・桃)、「果実まるごと1個分」(レモン)のアイコンを配し、商品コンセプトを分かりやすく訴求。また、ごろっとした果実のイラストでみずみずしい果実の味わいを表現し、フレーバーごとに異なる鮮やかな背景色を採用。缶体裏面には、果汁が沈殿するため、一度缶体を逆さにしてから飲んでもらうことを喚起すべく記載している。同商品の発表に際し27日に東京・大手町で記者会見を開催。同社の平野伸一社長と米沢透マーケティング第二部部長が登壇。同商品発売の背景や同社のRTD戦略について語った。

※RTD=「Ready To Drink」の略。チューハイ・サワーなどの「開けてそのまま飲める」アルコール飲料。

〈長らく課題としていたレギュラー度数帯に“ど真ん中”で勝負/平野社長〉
平野社長=伸長し続けているRTD市場だが、嗜好の多様化などを背景に市場全体で前年比10%増となる1億9,500万箱程度で着地した。我々のRTD事業はアルコール度数7%以上の高アルコール市場向けに発売した「もぎたて」「ウィルキンソンハード」などが好調に推移し、数量ベースで市場の成長率を超える11%増。売上金額は34億円の増収を確保。2年連続で過去最高の売上高を達成することができた。そういった状況の為、酒類事業におけるRTD事業の存在感は益々高まっている。

アサヒビール・平野伸一社長

アサヒビール・平野伸一社長

我々は研究開発や生産技術などのイノベーションによる新価値創造を行い、各カテゴリーにおける1つでも多くのナンバーワンを創出する事を目標としている。そんな中で「もぎたて」は昨年4月に新技術を用い、発売以来ユーザーに支持されてきた「活きた果実感」をさらに高めることで、2017年は前年比32%増で着地。今年も継続してクオリティアップに努め、限定フレーバーなどを多く展開していく。

若年層から高い支持がある「ウィルキンソンRTD」からは「全く甘くない」「強炭酸」という価値を持った「ウィルキンソンハード」を発売。同商品が牽引し、「ウィルキンソンRTD」ブランド計で128%増と飛躍的な増加を果たした。こちらの商品についても今年は限定の新フレーバーを続々と投入し、更なる認知度の向上とトライアル獲得を図っていくつもりだ。

市場を中長期的に見ると、税制改正によりさらに他の酒類からRTDへの流入が多くなると考えられる。このことから、RTD市場の拡大を継続させるために、現在の市場動向に甘んじず、付加価値を持った魅力的な商品を提供し続けていくことが大切である。

市場の半分以上を占めるストロング市場は前述の2商品の貢献もあり、市場で大きな存在感を誇示できているが、市場の1/3を占めているレギュラー度数帯(アルコール度数4~6%)については、当社として強いブランド力を持った商品が無く、長らく課題としていた市場。その市場に「ど真ん中」で勝負できる商品として「贅沢搾り」を発売する。「もぎたて」「ウィルキンソンハード」に続く第3の柱となるべく育て、RTD事業で465億円、前年比15%増を目指す。

〈ユーザーのニーズと不満を徹底解析、3年かけて商品開発 「みずみずしい果実感」「気軽さ」など訴求で年内200万箱目指す〉
米沢部長=
当社が課題としていたレギュラー度数帯RTDを主に飲用するユーザーに調査を行ったところ「果汁の量が多い」と言う価値に対しニーズがあることが、潜在的な不満として「果汁が多いにもかかわらずお酒の味が強く、果実の香りや味があまりしない」「苦味が強くゴクッと飲めない」「甘さが無くもの足りない」といった意見があることが分かった。そういったニーズに応え、不満を解決できる商品として今回「贅沢搾り」を発売する。

同商品は果肉部のフルーティさを感じる果汁と、自然な苦味や酸味を感じる果皮部の果汁をブレンド。また、「豊潤な香り」を実現すべく果汁本来の香味を引き立てる独自技術を開発。炭酸のガス圧についても各フレーバーで最適な圧を設定。レモンであれば強め、桃であれば少し優しく、グレープフルーツはその中間と言う具合だ。アルコールの度数は4%と設定したが、これはレギュラー帯のユーザーにとって飲みやすいアルコール度数であるとともに、果実感を出すために最適な度数でもある。開発期間は約3年。数百の試作品を作り、最適なバランスを追求し、発売まで漕ぎつけた。

プロモーションには当社の「クリアアサヒ」のTVCMに長年出演を頂いている上戸彩さんと、「嵐」の相葉雅紀さんを起用。発売時より3,000GRP のTVCMを投入するほか、当社RTD商品史上最大級となる65万人を対象としたサンプリング施策を実施。今年3~12月で200万箱を目指していく。

〈酒類飲料日報 2018年2月28日付より〉

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