“ストレスフリー”でほうじ茶が人気、PET飲料やカフェで新商品続々

6月18日発売の新商品「綾鷹 ほうじ茶」(コカ・コーラシステム)
ほうじ茶の人気が高まっている。ほうじ茶飲料のトップメーカーの伊藤園によれば、ほうじ茶飲料市場は、06年の約60億円から昨年は5.8倍の約340億円まで12年連続で拡大したという。昨年から清涼飲料やカフェなどで相次いで商品化されており、コカ・コーラシステムも6月18日から「綾鷹 ほうじ茶」(525mlPET)を発売している。

ほうじ茶人気の理由は、昔からなじみのある刺激の少ない香ばしい味わいと、比較的カフェインが低めであること。それが安心感とリラックス感につながり、ストレスフリーなイメージを持つことから、他の無糖茶に比べて女性の支持が高いという。仕事をしながらリラックスする時などに飲まれているようだ。最近では、こだわりの“加賀棒ほうじ茶”や“ほうじ茶ラテ”への注目も高まり、話題化も図れている。女性の社会進出とともに、ほうじ茶の拡大も続きそうだ。

ほうじ茶飲料で約7割のシェアを持つ伊藤園は、「お~いお茶 ほうじ茶」で市場を牽引

ほうじ茶飲料で約7割のシェアを持つ伊藤園は、「お~いお茶 ほうじ茶」で市場を牽引

ほうじ茶飲料で約7割のシェアを持つ伊藤園は、「お~いお茶 ほうじ茶」の販売数量が順調に増加し、昨年も10.5%伸長したという。購入者の男女比率は、男性51%、女性49%となっており、緑茶に比べ女性比率が11%高い(同社調べ)。「ほうじ茶は香りが良いので、もともとホット商品に力を入れてきたが、最近ではコールドでも回転が良くなってきている」(同社)という。同社は国産一番茶葉使用を訴求し、引き続き市場を牽引していく考え。

コカ・コーラシステムの「綾鷹 ほうじ茶」は、手いれのようなほうじ茶のにごりにこだわった新商品。緑茶と同じく、宇治の老舗茶舗「上林春松本店」が監修した。香ばしい香りを際立たせるため、葉が硬く、強い火入れが可能な二番茶を中心に複数の茶葉を合組(ブレンド)したという。

サントリー食品インターナショナルは、関西圏の嗜好に合わせ、京番茶を使用した「伊右衛門 ほうじ茶 関西限定」を発売している。秋には全国展開向けの商品も検討中だ。

7月19日まで限定の「加賀 棒ほうじ茶 フラペチーノ」(スターバックス コーヒージャパン)

7月19日まで限定の「加賀 棒ほうじ茶 フラペチーノ」(スターバックス コーヒージャパン)

〈カフェでも展開されるほうじ茶商品 金沢発祥「加賀棒ほうじ茶」に注目も〉
カフェでは、タリーズコーヒージャパンが、「タピオカほうじ茶ラテ」(アイス)を今年4月から展開。タピオカのもちもち食感と和の味わいが特徴。そして、最近注目されているのは、金沢発祥の伝統的な焙煎方法を用いた「加賀棒ほうじ茶」だ。お茶の茎部分だけを浅く焙じており、ほうじ茶に、より深い嗜好性を求める層に受けている。

スターバックス コーヒージャパンは、「加賀 棒ほうじ茶 フラペチーノ」を5月30日から7月19日まで展開している。お茶をカジュアルに楽しめるフラペチーノの提案。カフェ・ド・クリエは、「ソルベージュ 加賀棒ほうじ茶」(アイス)と「加賀棒ほうじ茶ラテ」(ホット)を5月9日から発売している。

2015年の発売から伸長を続ける「加賀棒ほうじ茶」(ポッカサッポロフード&ビバレッジ)

2015年の発売から伸長を続ける「加賀棒ほうじ茶」(ポッカサッポロフード&ビバレッジ)

ペットボトル飲料では、ポッカサッポロフード&ビバレッジの「加賀棒ほうじ茶」が15年の発売以来、販売数量で伸長を続けている。希少茶葉である石川県焙煎茎茶を100%使用。上品な味わいと和モダンのデザインが、特に30~40代の女性から支持されているという。同社担当者は、「急須でいれるほうじ茶は、昔から日本人に親しまれてきた。市場は伸長しているが、潜在ニーズを考えればさらに拡大するだろう」としている。

ほうじ茶の嗜好を好む人が多く、汎用性が高いことも魅力だ。ほうじ茶ラテやアイス、ケーキなど、多様な商品の食経験はPETボトルの購入にもつながっており、ほうじ茶市場の上昇基調は続きそうだ。

〈酒類飲料日報 2018年6月18日付より〉

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