〈炭酸水ブームで炭酸飲料全体への関心高まる〉
炭酸飲料市場は、11年連続で生産量が伸長し、今年1~5月も前年実績を上回って推移しており、過去最高の生産量になる見通しだ。世の中は、健康志向で甘さ離れの流れがあるが、なぜ炭酸市場は伸び続けているのか。それは炭酸水の台頭による飲用の習慣化と、生活者の常識にない商品の提案により新規顧客が手を伸ばすきっかけが増えたため、炭酸カテゴリー自体への関心が高まっていることが大きいという。
炭酸飲料の生産数量推移(全国清涼飲料連合会調べ)

日本コカ・コーラ社の島岡芳和コカ・コーラTMグループ統括部長は、「カロリーがなく、甘くない炭酸水が活性化することで、炭酸でもこれなら飲めるという総数が増えている。それにより炭酸カテゴリー全体の好意度が上がり、炭酸自体に興味を持っていただける方が増えてきた。炭酸のニュースに触れる総回数が増えることはユーザーの母数の拡大につながり、炭酸という枠組みの中で有糖炭酸も選択肢に入ってくるのではないか」と話す。

無糖の炭酸水は甘さがなく刺激を楽しめることから、飲用の習慣化が進んでいる。一方、甘さのある炭酸飲料は、飲んだ瞬間に楽しさやおいしさが体感できることが特徴だが、飲用頻度はお茶や水に比べて低い。そこで生活者の常識の外のサプライズな提案を行うことで飲むきっかけを作り、新規ユーザーを獲得してユーザー人口を増やす施策が重要になる。

〈「常識と少し違うところ」を狙って飲用機会を創出〉
たとえば、コカ・コーラシステムは今年に入り、桃のフレーバーの「コカ・コーラ ピーチ」や透明なコーラの「コカ・コーラ クリア」が注目され、昨年は容器の“リボンラベル”が話題となった。「お客様の頭の中にある炭酸飲料の常識と少し違うところをくすぐることで、炭酸飲料にトライしていただく機会は増えると思う。今年はうまくいっているが、その裏にはうまくいかないものもある。トライ&エラーの繰り返しだ」(島岡氏)。

他メーカーでは、アサヒ飲料が若年層に向けて「三ツ矢 グリーンスパークリングウォーター」で炭酸の微糖タイプを展開し、キリンビバレッジは夜や食事中の需要をねらった「メッツ ザ・ビター〈無糖〉」で、無糖でありながら柑橘系と苦みが両立した味わいを提案する。炭酸水でも嗜好性を訴求する新商品を提案するのはサントリー食品。「南アルプス クラフトスパークリング無糖ジンジャー」で“炭酸水にもっと味があるものもほしい”の声に応えていく。

〈30~40代“大人世代”が支える成長〉
ここ10年の炭酸飲料の成長を支えてきたのは、30~40代の大人世代のユーザーだ。健康志向の流れを受け、甘さを抑えたり、機能性の高い製品が増えたことで大人が飲まない理由がなくなってきたためである。ゼロ系の「ペプシネックス」(06年発売)、「コカ・コーラゼロ」(07年発売)、トクホの「メッツコーラ」(12年発売)、大人世代の嗜好にも応える「オランジーナ」(同)などが市場を盛り上げてきた。

今後は、大人世代の取り込みに加え、若年層や女性層へのアプローチによる新規ユーザーの獲得と、飲用シーンの拡大が課題となる。

炭酸飲料は、一度生活に入り込むと、炭酸でなければ得られないリフレッシュやリラックスがあるため、リピート購入につながりやすいことが強み。各社は炭酸の新規飲用者が500万人増加するといわれる夏に向け、新規ユーザーの獲得へ活動を最大化している。

〈食品産業新聞 2018年6月21日付より〉

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