〈第47回食品産業技術功労賞〉国分グループ本社「tabete ゆかりの」(フリーズドライ製法のスープ)の展開

「tabeteゆかりの」シリーズは、国分(株)創業300周年を記念し、新たなブランドとして2012年2月に発売を開始したもの。日本各地の原料を使用したご当地メニューをフリーズドライ製法のスープで商品化した。

コンセプトは、「お客様に気軽に『旅』を想像し、楽しんでいただきたい」。発売当初は北海道、青森など10品からスタートし、その後順次商品アイテムを追加し、17年2月に47都道府県を完遂した。コンセプトも改めて「自宅にいながら旅行気分を楽しんでいただける商品」とした。

京王百貨店で開催された日本一の駅弁大会では、ピーク時で1日400個も売れた。開催期間でのリピーターや全都道府県をまとめ買いする人などが続出。食品売場だけでなく、ドンキホーテなどの雑貨屋さんなど、エンターテインメントを求める売場での引き合いもあり、注目が集まっている。

具材では、単に具だくさんなだけでなく、贅沢な具材を贅沢に使い、圧倒的な商品価値を付加した。商品開発では価格ありきしたくなかったため、できる限り商品価値を高めることに注力したという。販売価格は1食270円~300円。

国分グループ本社 マーケティング開発部開発一課主幹MD 藤本恵子氏

国分グループ本社 マーケティング開発部開発一課主幹MD 藤本恵子氏

〈「温泉の入浴剤」からヒント得る〉

ご当地という切り口から考えていく中で温泉の入浴剤からヒントを得ました。全国の有名な温泉を自宅に居ながらにして楽しめる。これをスープでやってみてはどうかということになりました。

最初から47都道府県をそろえようという話ではありませんでした。一番初めに発売したのは、15年の春で、10品からスタートしました。

当初は有名な所のスープを取り上げて製品化していましたが、そこから商品を広げる段階で、47品そろえるか相当議論しましたが、47品の半分がそろった段階で、47都道府県をそろえることで開発を進めることになりました。

そこで問題になったのは、47都道府県となると、この県だけ作らないとはいかなくなってきます。そういう意味では、すんなりと商品開発をできたわけではなく、商品の選定から考えていかなければなりませんでした。

今後はリニューアルを含めて、北海道など広い地域は道東や道南といった区切りで商品を追加していきたい。また、今回はスープだったが、今後はスイーツや、世界といった切り口で、「tabete ゆかりの」シリーズの世界を広げていきたい。

〈食品産業新聞2017年12月4日付より〉