〈第47回食品産業技術功労賞〉四国医療サービス ロングライフチルド・フリーズ食品

ロングライフチルド・クックフリーズ食品は、長期間の保存性が最大の特長だ。賞味期限はチルドが90日で冷凍食品は1年。現場の急な食数変動に柔軟に対応し、次のクールでの使用や非常時の食材としても活用でき、簡便性に富む。

商品は約90種類で、常食惣菜はもちろん、病院向けキットは約6000種類と豊富な商品展開に驚く。全国に商品を展開しており、現場はスチコンや湯煎で再加熱するだけで、簡単に食事を提供できる。

現場の作業効率の向上と厨房のスリム化を実現し、人件費上昇から給食提供が困難になった病院・施設を商品の保存性と簡便性で救い、人手不足解消にも貢献している。1袋(500g)から購入でき導入がしやすいのも好評の理由のひとつだ。

導入実績は、東京大学医学部附属病院や大阪府済生会中津病院など、医療・福祉給食受託現場100件以上に加えて、大手航空会社の機内食やレストランチェーン・有名ホテル・老舗料亭・居酒屋チェーンなど合計145件。

四国医療サービス シンセイフード事業部生産本部次長・山下紘平氏

四国医療サービス シンセイフード事業部生産本部次長・山下紘平氏

〈真空調理導入で人手不足へ対応〉

弊社が「ロングライフチルド・フリーズ食品」を製造するきっかけとなったのは、2000年初頭に病院から院外調理の依頼を受けたことでした。やがて訪れる労働人口不足に対応出来るよう真空調理ができる設備をそろえ、新事業に着手しました。当初1施設から始まった院外調理でしたが、様々な献立が存在する病院食を保存料不使用で製造し美味しさと食感、日持ちを実現することは簡単ではなく、何度も失敗を重ねました。

当時、現場と開発を兼任していた私は、現場が機械を使用していない時間帯に試作を重ね、食材の下処理方法や加熱時間、加熱温度などを検証しました。開発が成功し実用化する度、現場作業をしていた私は明らかに作業効率が改善していることを肌で感じ、進んでいる方向性は間違っていないと確信しました。

失敗と成功を重ね、様々な視点を持つ上司・同僚・部下と意見を交わし、時にはお客さまとも意見を交わし試作開発することで高い壁も乗り越え、新たな発見が生まれることもありました。様々な方からのご意見や助言を、柔軟に取り入れてきたことが品質向上につながったのだと思います。

今回の受賞を心から感謝申し上げます。今後も初心を忘れず、謙虚にしておごらず、努力を続け、さらに新たな技術の開発・実用を目標に商品作りをして参ります。

〈食品産業新聞2017年12月4日付より〉