〈ダイフクの自動倉庫・自動仕分け機、バーコードを読み取り自動ソーティング〉
三浦 次に、ダイフクさんが導入された設備について、特筆すべき内容を教えてください。

中村 1日10万食を800事業者様に安定した品質で提供できる物流設備というコンセプトに対して、自動倉庫と自動仕分け機を組み合わせた高能力マテハンシステムを納入させていただきました。

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誰でも簡単に作業ができ、かつ出荷精度を向上させるシステムソリューションの構築がお手伝いできたと考えております。
自動倉庫(左)と自動仕分け機(右)を組み合わせた高能力マテハンシステム

自動倉庫(左)と自動仕分け機(右)を組み合わせた高能力マテハンシステム

三浦 導入された設備の性能と省力化の内容を教えてください。

中村 まず、ケース自動倉庫の“ファインストッカー”は、3,360棚の保管能力があります。入出庫能力は500ケース(時間あたり)になります。HFF 亀岡の2階で製造された製品を自動で入庫し、下流の仕分け作業に対し必要な製品を自動で供給いたします。

続いて、自動仕分け機の“サーフィンソーターミニ”は111シュートの仕分け口があり、仕分け能力は11,000個(時間あたり)になります。

出荷オーダーに基づき各事業所様毎に該当製品を指定された数量、自動で仕分けします。また、人が集めたり運んだりする作業がなくなり、定点作業になることにより高い生産性を維持できると考えております。

三浦 竣工式でダイフクさんの自動倉庫を拝見した時は、従来、物流センターで使用されていた機器を、食品工場に導入するアイデアに驚きました。

名古屋 当初、半自動で構想を練っていた時は、何度、図面を引いたか分かりません。自動倉庫と食材の組み合わせは難しいと考える時もありましたが、手書きのラフスケッチをもとに、中村さんと課題の共有・討議を繰り返した結果、最も適した設備を導入できたと考えています。

中村 ご相談を受けた当初は、『ピッキング(摘み取り式)による仕分け』という概念をご検討いただいておりましたが、医療食ということで、「出荷製品に間違いがあってはならない」という前提で、数あるマテハン機器の中から“サーフィンソーターミニ”を選定しました。それは、当初とは真逆の発想で、『ソーティング(種まき式)による仕分け』というソリューションです。

HFF亀岡で製造される製品(医療食)には、「定数パック」と呼ばれる全事業者様に指定数量でお届けするものの他に、「事業所パック」と呼ばれる事業者様毎の指定品(患者さんに合わせた味付けや数量を個別に指定)としてお届けする製品が毎日たくさん製造されます。数量だけを意識すれば良い前者に比べ、後者は絶対的にそのものを注文事業所様にお届けしなければなりません。製造後いったん保冷されているたくさんの「事業所パック」の中から、ある事業者様の製品を探し出してピッキングするのは大変な作業であり、また誤ピックも発生しかねません。そこで、サーフィンソーターミニでバーコードをチェックするだけという仕組みで、探し出すから自動で振り分けへと、大きな方針転換を提案させていただきました。

人が最も間違えやすい数量カウント作業や、類似品の誤ピックを、バーコード情報をもとに機械で自動仕分けする仕組みに変更することにより、ミス率が限りなくゼロに近い出荷精度を実現しております。

三浦 苦労したところは?

中村 サーフィンソーターミニは、2ライン合計で111のシュート(仕分け口)を設けております。シュートとは、仕分ける製品を滑り込ませる“すべり台”のような部分ですが、こちらに各事業者様単位で製品が集まってくる仕組みであります。

一方、仕分け対象である製品は、透明な包装フィルムでパッキングされております。このフィルム体とすべり台の相性に少し苦心しました。すべり台の角度が急過ぎると集まってくる製品同士の衝突が強くなり過ぎ、角度が緩いと途中で止まってしまうような状況でした。日清医療食品さんにもご協力いただき、40種類の製品サンプルで繰り返しテストをし、最適な角度を探った次第です。ただし、内容物が軽量な製品では滑りきれないものもあり運用でカバーしていただいております。なお、シュート(すべり台)の表面には微かな凹凸をつけた塗装を施し、フイルム体の抵抗の軽減を図っております。

三浦 導入された3社の機器についてご意見を?

関根 各社様の多大なご協力により、HFF 亀岡は竣工できました。クックチル方式では、冷却時間をいかに短縮するかで味が変わります。トンネルフリーザー(連続式冷却器)の導入によりコンタミも防止でき、アレルギー対応も万全です。安全で衛生的で、美味しい食事の製造が実現でています。

フルーツの下処理は、当社のご契約先事業所で取り組むと非常に時間がかかる作業です。CKで皮をむき輸送することで省力化を実現するとともに衛生面も向上し、安定した輸送によりロスも無くなりました。また、自動倉庫・自動仕分け機の導入により、少ない人数で入出庫能力の処理を自動化できました。誤仕分けはなく、大いに助かっております。さいごに、各メーカーの皆さんの協力ととりまとめをしていただきました中央設備エンジニアリングさんに感謝したく思います。

現在、HFF亀岡の安定稼動に向け対応をしています。稼動しても現在提供している食数の1割程度です。今後も更なる省力化が必要になります。引き続きご支援いただければ助かります。

三浦 工場が稼働して3ヶ月が経ちますが、いかがでしょうか?さらなる省力化のニーズはありますか?

関根 昨年11月よりテスト稼動を行い、12月より提供を開始させていただきました。もちろん、世界にない工場を建設したため、運用や教育についてもこれからブラッシュアップをしていく必要はあります。しかし、これからの医療・介護の食事サービスを変えていくためのフラグシップであるため、HFF亀岡が成功すれば第2、第3の工場建設の検討や、CK以外でも何らかの事業所における省力化の検討も考えていきたいと思います。

〈各社の省人化・省力化に懸ける想い〉
三浦
日本の生産人口は今後も減少していきます。食品製造において皆さんの奮闘がさらに期待される中、人手不足を好機とし、ニーズに応え成長する企業もあります。人手不足解消と省力化・省人化に懸ける想いをお願いします。

名古屋 弊社では、今後もお客様の製造プロセスを短時間で理解し、省力化、省人化、自動化の最新技術から最適なものをご提案し、食品製造に携わるお客様の更なる発展に貢献し、これからの食の安全・安心を通じて皆様のより豊かな暮らしに役立っていきたいと考えております。

木嶋 医療、介護食製造現場でのクックチルの用途でのトンネルフリーザー(連続式冷却器)の導入は今回が初めてとなりますが、少子高齢化に伴う、人手不足を補い、省人化を図るため、大量調理施設において当社機器でクックチル、クックフリーズを行う需要は今後まだまだ拡大していくと確信しております。

これからはさらにお客様のご要望に耳を傾け、新しい技術や製品を世に送り出し、トンネルフリーザー(連続式冷却器)のNo1メーカーとしての責任を果たし、人々の暮らしを豊かにしていく事が出来る様に、努力して参ります。

古川 深絞り包装機はあくまでオペレーターの方が手で処理されているので、弊社は計量機メーカーなので、計量したものを深絞り包装機に投入するロボットやコンピュータ、自動ラベラーもご提案したい。省力化・省人化は、どの食品工場においてもテーマだと思うので、その課題に対してはトータルのシステムでお応えしたいと思います。

中村 我々が属しているマテハン業界には、確かに人手不足からの追い風が吹いております。しかし、自動倉庫やソーターを導入すればすぐにでも省人化できるかというと、必ずしもそうとは言えません。

当社は、お客様毎にそのニーズを詳しくお聞きし、徹底的な分析をした上で自動化すべき範囲を見極め、そのお客様に最適と考えるマテハンを提案することを信条としております。最適・最良のソリューションを提供し、世界に広がるお客様と社会の発展に貢献することが当社の目標であります。

三浦 最後に、人手不足が深刻になる中、設備・機器メーカー様に期待することはありますか?関根 HFF 亀岡は皆様の御尽力で最良の工場ですが、最大食数を作るとなると、約300人の人手が必要です。ここまで省人化を図っても、その人数を集めるのは苦労します。

当社には労働人口が減少しても、食事を提供し続ける使命があります。その実現のためには、この工場をフラグシップとし、さらにCKを建設することも必要です。その時には、新しい技術を導入した更なる省人化・省力化のご提案をいただければ幸いです。ご協力をお願いします。

〈給食雑誌 月刊 メニューアイディア 2018年4月号より〉

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