共同購買4.2%増57.2億円、今期60億円へ/ファンズエーピー「第13回会員総会」

ファンズエーピー・志太勤一社長
〈冷凍品は6.6%増31.2億円・凍菜8.7%増、常温は2.1%減〉
給食企業が食材の共同購買事業を行うファンズエーピー(株)(通称「ファンズ」。志太勤一社長=シダックス社長)は21日、「第13回会員総会」を東京の日本青年館ホテルで開催した。

共同購買の取扱額は対前年比4.2%増(2億3,742万円増)の57億2,392万円となった。営業利益は794万円から953万円、経常利益と796万円から953万円と微増益、当期純利益も444万円から615万円の微増益となり増収微増益となった。今期は全会員76社の購買量増と取引先メーカーの価格や新商品開発への協力を通じて60億円を目指すとした。また、監査役の吉田和民東京ケータリング社長が取締役に就任、監査役には取締役の室伏雅永フジ産業顧問と藤井俊成テスティパル社長が新たに就任した。

総会には45社、約90人が出席した。ファンズエーピーの第13期売上高は57億2,392万円・前年比4%増。そのうち常温品が17億8,345万円・同2.1%減(3,782万円減)に対して、冷凍品は31億2,493万円・同6.6%増(1億9,225万円増)、冷凍野菜は7億9,709円・同8.7%増(6,402万円増)となった。事務局の藤井薫氏は常温品がここ数年、前年割れしている要因について「人手不足の進展で手作りから完調品・半完調品に移行していることと、煮物のタレや中華の素など合わせ調味料の使用が増えているから」と説明。

冷凍品は肉の切身(豚肉・鶏肉)と魚の切身が大きく増加した。豚肉・鶏肉ともにアイ・ビー・シー社で合計売上げは約11億円。魚切身はマルハニチロが15種の魚で47品目、ショクリューが10種で22品目、日本水産が1種で5品目――合計26種類74品目の品ぞろえで取扱金額は約16億円だった。伸長理由について「アイテムの増加と、給食用に特化させ1パック5枚切、基本『真空』や『脱気』パックで扱いやすく、かつ1年通しでの価格設定をしているから」とした。

凍菜供給メーカー・商社について海外品はニチレイフーズ、豊通食料、日鉄住金物産、アイガーの4社で41品、国内品はフジ産業で4品、合計45品目を揃える。商品群の充実もあり、年々取扱い額が伸びている。増加要因は「価格が安定し保管がきくことと、アイテム増加、10ケース配送の浸透」と説明した。

会員別・地域別伸長率は東日本地区は2.5%増、中部地区3.8%増、西日本地区7.9%増。新規商品、唐揚げ・ハンバーグ・凍結卵新規商品として昨年11月からニチレイフーズの「やわらか若鶏唐揚げ」1品目、今年5月からヤヨイサンフーズ「あらびきチーズインハンバーグ」3品目、キユーピー凍結全卵2品目などが採用された。「唐揚げは人手不足の解消、品質の均質化、衛生面で生肉を厨房に持ち込まないことから採用、ハンバーグは既存『ネオハンバーグ』よりグレードの高い商品が欲しいという声からファンズオリジナル商品として開発した」10月からは、理研ビタミンのドレッシング(500ml)を採用する。現行の1,000mlタイプとml単価が同じ設定で提供できるという。

〈秋には冷凍麺採用へ〉
今後、導入を検討する商品には冷凍麺が挙がった。重量・太さ・喉越しなどの理由で意見がまとまらず頓挫していたが、価格を重視して、秋口には採用する予定だ。供給メーカーとしてシマダヤ、やまひろ、テーブルマーク、タカラ食品、東洋水産の5社が挙がった。

藤井氏は「これまで基礎調味料、原料を中心に品揃えして、皆で単一商品を使用してスケールメリットを出そうとしてきたが、今後は1つの商品でなかなかスケールメリットがでない。メーカー全体で売上を作り、メーカー全体でスケールメリットを出していく。人手不足を少しでも解消できるよう加工品・完調品・半完調品の品揃えを強化させるとともに、メディカル給食にも対応できる商品の開発を進めていきたい」と語った。凍菜は「基本アイテムの充実を図ってきたが、今後は需要の多様化にも対応したい」と述べた。

総会における志太社長の開会挨拶と米谷伸行取締役(日米クック社長)の閉会挨拶はそれぞれ次のとおり。

志太社長=全会員76社により前期は104%の57億2,000万円、現在361アイテムを取り扱っている。我々の業界は人件費の高騰が続く。少子高齢化で働き手がいなくなっている。コスト削減が最も大事で、それは食材のコスト削減が重要となる。本共同購買機構は元々食の安全安心を念頭に始まったが、今はこれが当たり前で皆様の購買力によるスケールメリットでコストダウンしている。人手不足の下、半加工品等の充実や加工度を高める食品の仕入れが重要となっている。安定かつ安価に食材供給できるようファンズへ力を集めてより価値のあるものにしていこう。

米谷取締役=今は給食企業にとって追い風か向かい風かの判断の難しいとき。食材の値上げや人手不足でコストは上昇し、一報で給食の価格改定では少し我々の希望が通るようになった。こういう時こそ商品購買だけではなく、会員間の生の情報交換が大事となる。

懇親会ではメーカーを代表してニチレイフーズ松尾哲哉執行役員首都圏支社長が「原材料や資源不足の中で104%の数字を残したのは戦略・方針を会員が十分理解しているから。今期60億円が目標だが、65億円に達するとも聞いている。メーカーも一丸となって人手不足や働き方改革の流れに積極的に答える商品提供等に努め、お互いウインウインの関係を強め盛り上げていきたい」と祝辞を述べた。

乾杯では田所伸浩副社長(魚国総本社社長)が「本日は会員45社、メーカー35社の計70社、170名が参集され、北大阪地震で様々ある中、感謝したい。今期は60億円を目標に、商品群も取扱品数も増えてきており、会員皆様で一緒に購買力を強めていきたい」と述べた。

取引先メーカー全35社の各ファンズ担当者による製品等紹介の後、中締めで山本裕康取締役(メーキュー社長)は「年々人口が減り食べる人が減る中で伸ばしていくことは難しい。顧客ニーズに応え、より多く取扱品目を増やして行く中、学校給食の商材も扱うようになればと願う。人手不足に応えられるような加工度の高い新商品の提案を期待している」と締め括った。

〈冷食日報 2018年6月25日付より〉

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