〈第47回食品産業技術功労賞〉宝酒造「宝焼酎 NIPPON」等で焼酎甲類の新たな提案

宝酒造が昨年から今年にかけて、新たに市場に投入した焼酎甲類は5商品。同カテゴリーでは異例の多さだ。商品の特性上差別化が図りづらい同カテゴリにありながらも、「桜樽貯蔵熟成酒」と「桜葉」を使用した「宝焼酎 NIPPON」や、レモンサワーブームの勢いにより加勢すべく、東京の「ネオ大衆酒場」の経営者たちと作り上げた「タカラリッチ」と言った個性的な商品を発売し、市場を盛り上げている。

「宝焼酎 NIPPON」は桜樽貯蔵熟成酒を3%使用し、国産の桜葉を用いることで、桜餅の様なほのかな甘い香りが楽しめる、これまでになかった新しい価値を持つ酒質を実現した。一方「タカラリッチ」は樽貯蔵熟成酒を9%使用、レモン系の香り成分を持ったハーブを原材料の一部に使用し、連続蒸溜することで、レモンなど柑橘系果実の風味がより引き立つ酒質に仕上げた。

宝ホールディングス常務取締役 鷲野稔氏

宝ホールディングス常務取締役 鷲野稔氏

〈独自技術で焼酎甲類に新価値を〉

宝酒造は、甲類焼酎トップメーカーとして市場を活性化すべく、様々な価値を持った商品を市場に投入している。

一つは、現在ブームのレモンサワーに対し、最適な甲類焼酎を提案するなど、トレンドに合わせた商品提案を実施している。全国的に広がりつつあるレモンサワーブームをさらに盛り上げていきたい。

もう一つは、新価値提案として宝焼酎「NIPPON」を発売している。この商品は原材料の一部に焼酎では珍しい国産桜葉を用いて連続蒸留し、“桜樽”貯蔵熟成酒をブレンドした差異化された商品。

原料の桜葉と桜樽貯蔵熟成酒により、桜餅の様なほのかな甘い香りを生み出している。桜樽貯蔵熟成酒のブレンド比率は3%だが、これは目指すべく味わいを追求するために何度も試行錯誤を繰り返して出された比率。貯蔵酒の風味が強過ぎるのも良くないし、少なすぎても商品の特長を出すことができない。絶妙なバランスが必要だ。

現在は同商品を炭酸で割った「桜富士ハイボール」の試供品をサンプリングするなど、積極的に認知度向上策を行っており、評判も上々。風味やデザインが評価されており、特に女性からの支持が高い。

今後も、宝酒造独自の蒸留技術やブレンド技術により産み出された差異化された商品を提案し、甲類焼酎市場全体を盛り上げていきたい。

〈食品産業新聞2017年12月4日付より〉