――創業と現況について。

山本 当社の前身は山本機械工業という農業機械メーカーだった。そのかたわらでそば製粉機械の製造にも着手、十割そばを製造するための製粉機械を開発した。その技術を活かし、1974年(昭和49年)10月に、山本食品として創業、以来、乾めんと生冷凍のそば、うどん、ひやむぎ、そば粉などを製造販売している。製造品目としては90%をそばが占めている。

直近の業績としては、17年10月期の売上が、単体ベースで6億8, 500万円、前年比1%増、17年は夏場の天候不良が影響した。生産量(製品ベース)は本社工場で1日6トン、この度竣工した新工場で1日4トンとなっている。新工場は24時間稼働も可能なため、生産量の増加が見込めるが、現在は日中の稼働のみとしている。
山本食品 新工場

――新工場建設の経緯について。

山本 現在、欧米市場にも乾めんを輸出している。そこでキーワードとなるのが「オーガニック」と「グルテンフリー」の2点である。従来の本社工場では、少量ではあるがうどんや冷麦といった、小麦粉を原料とした製品も製造している。細心の注意を払っているが、混入の可能性がないとは言い切れない。それでは、そば粉と水以外の原料を使わない、十割そば専用工場を作ってはどうか、というところから今回の新工場建設に至った。

たとえばオーストラリアでのグルテンフリーの基準は大変厳しく、3ppm( 100万分の3)以下という難しい数字が提示されている。これまでも十割そば製品はグルテンフリーではあったが、それをパッケージに表記することはなかった。7~8年の間悩んだが、その間に海外での売り上げも伸び、今がそのタイミングだとふんだ。このたび、一部のOEM商品でGFCOの認証を取得し、パッケージにも表示されることになった。

――新工場の特徴は。

山本 新工場でもっともこだわった点として、“一連の流れを止めない"ということが挙げられる。原料の入荷から、製粉、製麺、乾燥、包装、出荷まで、途切れることなくラインで流れていき、外部との接触や、人の手がふれる部分がほとんどない。省力化にもつながっており、だいたい1ラインに12人の人員を配置する。また、品質管理室にさまざまな機器をそろえ、5ppm以上の小麦粉含有に反応する検査機を導入する。ここまで精密な数字を検査できる検査機を導入しているところは、世界でも少ないのではないか。

原料についても改めて精査した。徹底的にコンタミのリスクを取り除いたのが今回の新工場だ。新工場の設計などについては、工場長と業者にすべて任せた。優先したいのは現場の事情だ。現場で働くスタッフが、課題と改良点を熟知していると考えた。

――今後の展開は。

山本 海外市場は欧米を中心に、年に1億円の売り上げ増を見込む。十割そばの新製品のアイデアもあり、開発に取り組んでいる。いまでも十割そばの乾めんに対して、「信じられない」という声を聞く。国内に向けても製品情報を発信していきたい。また、ニューヨークに十割そばの店を出店したい。新工場のある飯綱町もそばの産地、そば店やそば打ちのできる道場などを作り、手打ちそば選手権を開催したり、「十割そばの里」といわれるようになれば、と思う。そば店を出し、お客さんの声を直接聞きたい。飯綱町から全国、世界へ、十割そばのおいしさを発信していきたい。

〈月刊 麺業界 2018年6月号〉

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