〈第47回食品産業技術功労賞〉井村屋グループ「あずきを軸に多彩な展開」

井村屋グループは創業120年、会社設立70周年を迎えた。創業の商品である「山田膳流しようかん」から事業をスタートし、「あずきバー」やようかん、ゆであずき、「あんまん」をはじめ、あずきを使用した多彩な商品を展開する。

伝統素材のあずきを用い、時代に即した製品を世に送り出してきた。最近では、「あずきで健康に寄与したい」と栄養成分を最大限生かす製法・製品として、煮小豆・煮小豆ようかん・煮小豆カロリーハーフゆであずきを開発した。

伝統と革新の融合は、マーケティング活動にも見られる。近年、SNSマーケティングに積極的で、若年層を含む幅広い年代に訴求している。また、「毎月1日はあずきの日」と、7月1日「井村屋あずきバーの日」を制定。あずきの食文化の伝承と普及に貢献している。

16年5月の伊勢志摩サミットでは、国際メディアセンターに対し、「あずきをAZUKIに」をテーマに、同社のあずきを使った様々な製品を提供。日本の食文化、和菓子の魅力を世界へ発信した。

井村屋グループ代表取締役会長(CEO) 浅田剛夫氏

井村屋グループ代表取締役会長(CEO)  浅田剛夫氏

〈あずきは事業経営の「心の柱」〉
あずきは当社にとって欠くことのできない原料であり、事業経営における「心柱」であるとも言える。そのあずきを基軸に多様な事業展開に挑み続け、今日の井村屋グループが形成されている。

創業時のようかんから始まり、即席ぜんざい、ゆであずき、水ようかん、肉まん・あんまん、あずきバーなど数え上げればきりがない。様々な商品を通じて、あずきの魅力をお客さまにお伝えしてきた。

古来、あずきは体に良い食物とされ、毎月1日と15日にはあずきご飯を食べる風習があったとされる。そのような食文化を伝承することも当社の使命と認識し、「毎月1日はあずきの日」を制定して、日本の伝統的な食文化の普及に努めている。

そして最近では、「あずきのおいしさ」とともに「あずきの健康性」を広く知っていただけるように、農学博士の加藤淳先生が提唱する「煮あずき製法」で炊き上げた「煮小豆シリーズ」を発売している。あずきを炊くとき、煮汁とともに流れ出てしまう食物繊維、カリウム、ポリフェノールなどの栄養成分を効果的に取り込める商品だ。

井村屋グループは「おいしい!の笑顔をつくる」をミッションに、コア原料であるあずきを生かした商品開発で新たな食シーンの提供とともに、社会のお役に立てる企業を目指していく。

〈食品産業新聞2017年12月4日付より〉