2017年の酒類の課税数量は国産輸入計で0.2%減、輸入は0.3%増―国税庁

国税庁が発表した2017年1~12月累計の酒類の課税数量は874万2,623klとなり、前年比0.2%減となった。その中でも国産酒は0.3%減、輸入酒は数量の半数近くを占める果実酒が伸長した影響により0.3%増となっている。なお、12月単月は94万3,320klとなり1.1%減。
2017年の酒類の課税数量(国産)

2017年の酒類の課税数量(国産)

2017年の酒類の課税数量(輸入)

2017年の酒類の課税数量(輸入)

品目別に見ていくと、清酒は1.3%減。ここ数年続いている本醸造酒と普通酒の下落基調が止まらずに7年連続の減少。海外への輸出は絶好調だが国内の需要は厳しい状況が続く。また、純米酒が前年割れを起こす月が幾つかあり、ダウントレンドの2種に加えそれも2018年の懸念事項の1つだろう。

連続式蒸留焼酎は2.1%減。国産は1.2%減、輸入については8.4%減。ペットボトルや紙パックの大容量商品の売れ行きは芳しくないものの、若年層を中心に爆発的な人気となった「レモンサワー」による需要増の為か、ここ数年の下落具合に比べると幾分穏やか。「人気があると言っても首都圏だけ。まずは関西でもレモンサワーの需要を伸ばしていきたい」と焼酎メーカー営業担当者。

単式蒸留焼酎は1.7%減。宮崎県産の単式蒸留焼酎が数量を牽引したが、前年越えとはならなかった。2018年は鹿児島県が舞台の大河ドラマ「西郷どん」が放映されており、鹿児島県酒造組合関係者は「量販店での特集や土産店での需要が増加しているため数量増の期待は大きい」と話す。

ビールは2.8%減、発泡酒は4.0%減、その他の醸造酒は6.9%減、リキュール2.4%増。リキュールのうち6割を新ジャンルが占めるが、新ジャンルはビール酒造組合発表の課税数量によると1.5%減。ビール類総市場は13年連続のマイナスとなる。6月に施行された改正酒税法によるビール類の店頭価格の上昇に、夏から秋にかけての連続台風上陸と長雨の著しい天候不順が追い打ちをかけた。

果実酒は、国産・輸入計で3.3%増となったが、2015年比では0.7%減と、2年前の市場規模には戻っていない。国産では前々年比で4.5%増と上回ったが、国産より市場規模の大きな輸入ワインが前々年比で2.9%増。

ウイスキーは国産が前年の伸び率をさらに上回り10.0%増、輸入も3.3%増で、トータル9.0%増と好調に市場を拡大している。

スピリッツ類は12.2%増と全酒類中唯一の2ケタ増。RTDが伸長したためで、2018年もサントリー、キリン、アサヒ、宝酒造の大手4社が相次いで大型新商品を投入するほか、自らを「RTDでは最後発」と語ったサッポロビールも本腰を入れて取り組むと発表。既存の個性的な商品群に加えて、4月にはその第1弾として「りらくす」シリーズを発売する。

〈酒類飲料日報 2018年3月16日付より〉

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