〈“節約志向とご褒美志向”、一人のなかでの消費二極化〉
健康志向や自分へのご褒美需要が引き続き一般流通菓子のキーワードとなっている。

価格受容性が高まり、高カカオ系のチョコレート中心に、250円から350円程度の個食タイプとしては高価格帯に位置付けられる商品がよく売れている。カカオ豆から製品まで一貫して携わる「BEANtoBAR」や「健康」をキーワードとした商品の価値が世代や性別を超えて広く認められ、多くのリピーターを生んでいるもようだ。

この価格帯のチョコレートは自分へのご褒美需要を獲得している。森永製菓の西宮正取締役は、「節約志向とご褒美志向というように、一人のなかでの消費二極化が生じている」と指摘する。

長年“母の日ガーナ”の取り組みを行ってきたロッテの調査からも、ギフトよりも自己消費に、より値の張る商品を購入する傾向が強いことが明らかになっている。

〈“大袋”も根強い人気 メーカー各社は“毎日の習慣化”を訴求〉
一方でチョコやビスケットでは、ユニットプライスの安い徳用大袋商品が根強い人気だ。ただし大袋商品も、以前の催事や大量陳列が中心の展開から定番売場へ主戦場が移りつつある。不二家は昨年から大袋のナッツ系チョコなどで健康志向をふまえた展開を本格化。売れ行き好調で「同じ商品でも見せ方を変えれば売れる」と自信を深めている。

今春は、明治が発売20周年を迎えた「チョコレート効果」から、カカオ72%・45枚入りの大袋商品を発売した。1枚当たり127mg、1袋当たり5715mgのポリフェノール含有をパッケージ前面に掲載している。「チョコレート効果」は、中高年齢層中心に毎日の習慣として食べるユーザーが定着しており、大袋投入で“チョコ習慣”を後押しする。

森永製菓はビスケットにおいて朝食需要の拡大を狙う。同社が昨年実施した朝食に関する意識・行動・期待についての調査では、「時短・簡便」「腹持ちの良さ」「健康的」がキーワードに浮かび上がった。そこで同社は、朝食時にビスケットを食べる食習慣を“朝ビス”として訴求。今春は新たに「森永Grains(グレインズ)」シリーズを立ち上げ、食シーンの提案を強める。

〈2018年バレンタインチョコは苦戦 “SNS映え”テーマに展開も需要促進に課題〉
今年のバレンタイン商戦で、一般流通のチョコレートは思わぬ苦戦を強いられた。これまで下支えしてきた手作り需要の鈍化が主な要因と考えられるが、これには少子化や若者の恋愛離れに加え、東日本大震災以降のいわゆるキズナ消費の定着、さらには「モノ」から「コト」への消費価値の変化などに伴い、バレンタインの在り方が多様化してきたことが大きく影響している。

体験を重視するコト消費は、日常の出来事を共有できるSNSと親和性が高く、したがって今年のバレ商戦では各社が「フォトジェニック(SNS映え)」をテーマに展開したが、実需促進に課題を残した。

いずれにせよ母の日やハロウィンの盛り上がりにより、バレンタイン一極集中からの脱却が進んだ。今後は、チョコレート中心にデイリーユースの訴求、極端な言い方をすれば“脱催事”の流れが一層強まると思われる。

〈食品産業新聞 2018年4月12日付より〉

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