今年のバレンタインは“フォトジェニック”に メーカーから百貨店まで「SNS映え」意識した展開

ロッテ“ガーナ”のイベントには松井愛莉さん(左)、土屋太鳳さん(中)、広瀬すずさん(右)が登壇
〈“恋愛離れ”、「モノ」から「コト」への価値変化〉
近年、日本ではバレンタインの用途や目的が多様化している。

背景には少子化や若者の恋愛離れに加え、東日本大震災以降の「キズナ消費」の定着、「モノ」から「コト」への消費価値の変化などがある。特に、体験を重視する「コト消費」は、日常の出来事を共有できるSNSと親和性が高いことから、今シーズン各社の商品や販促策は「フォトジェニック(SNS映え)」という点で共通している。

〈メーカーはレシピ紹介・コラボ展開などで機運盛り上げ〉
明治は、好調な「明治ザ・チョコレート」から、「メキシコホワイトカカオダーク」や「セレクションギフトボックス」など期間限定品を一部百貨店等で発売している。ほかにアパレルブランド「ニコアンド」とのコラボ品を同ブランド店舗やウェブストアで販売。また10代・20代の若年層へ向け、特設サイト上で「手作りチョコレシピ」を紹介している。難易度や調理時間、タイプなど条件を入力することで好みのレシピを検索しやすくした。包装のアレンジ術も紹介。

森永製菓は、「ダース」発売25周年の記念商品「ダースプレミアムフルーツ&ナッツ」「ダースプレミアムカカオ」を期間限定で発売。販促策として、「♯森永バレンタイン2018」と題したSNS投稿を促す手作りレシピの提案を実施している。また、アサヒビールとの協働により、「カレ・ド・ショコラ」や「小枝」とウイスキーのペアリングを提案する。

ロッテでは、恒例のプロモーション“ガーナで手作りバレンタイン”を実施。施策の一環として2月1日に都内で開催したPRイベントには、イメージキャラクターを務める土屋太鳳さん、松井愛莉さん、広瀬すずさんの3人が揃って登壇。ガーナらしい赤いエプロンを身にまとい、「フォトジェニック」なガトーショコラ作りに挑戦した。同施策では「カンタン」「たくさん」「おしゃれ」など条件別レシピに加え、レシピ動画や「ホットチョコレート」「チョコごはん」など、多彩なレシピをウェブ上に取り揃えている。人気タレントを起用したテレビCMやイベントにより、バレンタイン機運を盛り上げていく。

〈輸入チョコは手頃な小容量が人気 “国産とは違う特別感”でプチギフト需要つかむ〉
一方、輸入チョコは一粒タイプと個包装アソートを中心とした商品の動きが良い。ここ数年で手頃な価格の小容量タイプが増え、CVSや雑貨店などへ広く配荷が進み、「手軽に買える商品でありながら国産とは違う特別感を出せる」(小売業筋)として、プチギフト需要をつかんでいる。今年のバレンタイン当日は平日にあたるため、一部では駆け込み需要の受け皿ともなりそうだ。

輸入各社のラインアップをみると、鈴商は、ザ・ハーシー・カンパニー(米国)の「キスデラックス」の提案に力を入れている。ローストヘーゼルナッツをライスクリスプとミルクチョコレートの2層でコーティングしたもの。ゴールド基調の上品なパッケージで、贈り物に最適な商品だ。4粒入・200円、15粒入・800円。

また、豊産業は主力の「カフェタッセ」(ベルギー)において、期間限定品の「ミニチョコレートカップ6P」(1500円)を提案。定番品の「ミニタブレットアソート20P」や「ナポリタン5種アソート15P」にも注力する。「個包装紙のデザイン性が高いので、ラッピングして渡す人が多い。百貨店などの高級チョコよりは価格を抑えられる点も人気の理由で、毎年この時期はよく売れる」(同社)と言う。

〈“贈る相手の多様化”から「何度もバレンタインを楽しむ」人が増加 百貨店では早期の受注開始も〉
大手百貨店の動きをみると、松屋銀座では、2月14日まで特設会場を設置中だ。「女性が楽しむバレンタイン」をテーマに、フェア期間前半は自分チョコ、後半は本命や義理チョコ中心に展開。特設会場内の売り上げ目標は2億円。昨年よりも開催期間は1週間ほど短いが、「クリスマスケーキは前年から20%増、初売りは5%増と直近のイベント消費は活発。バレンタインもこの流れが続くとみている」(同社食品部洋菓子担当バイヤー鈴木章浩氏)と期待を寄せる。

今年はSNSによる話題の波及をねらい、「フォトジェニック」なチョコを拡充した。日本初上陸や和素材、ビーン・トゥ・バーなどを用意し、希少性をアピール。特設会場および館内にフォトブースを設置するほか、ショコラティエによるトークショー等の企画を開催する。特設会場以外のフロアでは文具やネクタイ、インテリアなどのバレンタインギフトを取り揃え、関連販売にも力を注ぐ。

また、そごう・西武では、昨年12月からバレンタイン商品のネット受注を開始した。「贈る相手が多様化し、何度もバレンタインを楽しむ方が増えているため、店頭化に先駆けて早くからチョコレートを選んでいただくことがねらい」(同社)。店頭では、2月14日まで西武池袋本店において「チョコレートパラダイス2018」を開催している。

〈食品産業新聞 2018年2月5日付より〉

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