不二製油グループ17年度決算、生産力を踏まえた収益重視の市場選定と価格政策が寄与

不二製油グループ本社は10日、17年度決算説明会を都内で開き、決算概要と共に18年度施策方針などを説明した。

同社は売上高・営業利益共に過去最高を記録した17年度決算について、原料コストが比較的安定推移したことに加え、国内外で生産能力を踏まえた収益性重視の市場選定と価格政策により、設備投資などに伴う減価償却も吸収した上で、増益を達成できたと説明した。

具体的には、国内ではチョコレートのほか、水溶性大豆多糖類、USS製品といった高付加価値製品の販売が堅調なほか、堺工場の閉鎖や石川工場の相模屋食料への売却など、大豆事業の構造改革などを挙げた。海外では米国で低トランス酸パーム油、中国でのフィリング販売などが好調とした。

〈チョコレート事業の収益向上、PBFSに特化した製品投入に重点/清水社長〉
清水洋史社長は説明会のなかで経営方針について、改めて植物性の食素材で世界の課題を解決する、PBFS(プラント・ベースド・フード・ソリューション)に取り組む考えを強調、「当社の主要原料のパーム油、カカオ、大豆はサステナブル調達の面で問題となるものが多い。先陣を切る形で、当社が模範とならなければならないと考えている。そのことが、人口増加や食料資源の枯渇、高齢化といった課題の解決にも役立つ」と述べた。

その上で清水社長はサステナブル調達の事例として、マレーシアのパームヤシ栽培会社・ユナイテッドプランテーション社との合弁による、持続可能なパーム油を原料とした高付加価値パーム油製品の生産販売会社の設立に言及し、「今年度下期から稼働の予定だが、サプライチェーンの改善活動から苦情処理まで取り組みたい」と述べた。

中期経営計画(17~20年度)については、チョコレート事業のさらなる収益性向上と、PBFSに特化した新製品群の投入に重点を置く考えを示した。清水社長は「特に重要なのは、食品産業界における人手不足と高齢化に対して、当社の技術で手助けをしていくことにある」と述べた。

その上で大豆事業については、「PBFSの中核となるのが大豆事業。そのなかで(低糖酸性乳飲料の需要拡大を背景に)多糖類が好調だ。USS製品はやっと10億円規模の事業となってきたが、もっと大きな事業にしたいと考えており、国内だけではなく、北米でもソイチーズを展開したい」との考えを示した。

同社は18年度については、売上高・営業利益共に4%台の成長を目指す計画で、主に製菓・製パン素材の拡販、付加価値化とコスト削減により固定費の増加をカバーし、増益を確保する考えを示した。設備投資は200億円を計画しており、中国広東省でフィリング・マーガリンの新生産拠点の7月稼働を予定しているほか、米ニューオリンズで低トランス酸パーム油需要の増加に対応した新生産拠点建設に着手する(19年稼働予定)。

事業別の施策方針は、油脂事業ではチョコレート用油脂の拡販などを図る。製菓・製パン素材事業は、ブラジルでチョコレート新製品による拡販を図るほか、中国広東省の工場稼働により、華南におけるフィリング・マーガリンの販売強化を進める。

大豆事業は、水溶性大豆多糖類やUSS製品の拡販に加え、健康志向を背景とする大豆たん白市場の創出・拡大などに取り組む。

〈大豆油糧日報 2018年5月11日付より〉

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