アウトルック開催、初めて台湾から代表団、東アジアの関係は非常に貴重-USSEC

USSECのカルロス・サリナス東アジアエグゼクティブディレクター
USSECのカルロス・サリナス東アジアエグゼクティブディレクター

アメリカ大豆輸出協会(USSEC)は10月27日、「アメリカ大豆バイヤーズアウトルック会議 2026ジャパン-台湾」を開催した。セミナーの中で、26年産米国大豆の品質は油分が多く、たん白質は若干低めではあるものの十分な量との見解が示された。また、ブラジルの26/27年の大豆生産量は、エルニーニョの影響やレアル安などの不確実性から増産予想に幅があることが紹介された。米中関係の改善や一国依存のリスク回避などから、中国の輸入はブラジルから米国へとシフトする可能性にも言及された。米国ではバイオ燃料需要の拡大により大豆油の生産量が拡大している。その成長がどの程度続くかは、45Zの税額控除が29年末以降に延長されるかが不透明なことなどもあり、政策次第となるとの見通しが語られた。

開催あいさつでUSSECのカルロス・サリナス東アジアエグゼクティブディレクターは、「今回初めて台湾からの代表団を迎えることができ、うれしく思っている。世界的に植物油や大豆ミールの需要が増加する中、持続可能なサプライチェーンの構築が重要な課題となっている。日本と台湾は、引き続き米国産大豆を安定的に購入してくれている。東アジアの関係者との信頼関係やパートナーシップは、極めて貴重なものである。こうした関係は一つ一つ築き上げていくものであり、今後も継続していきたい」と述べた。

日本との関係について、「この5月にマイルストーンとして日本での活動70周年を祝い、豆腐と納豆の関連団体とMOUも結んだ。11月に名古屋で開催される全国納豆鑑評会には、サプライヤー9社が来日する。USSECは好調な納豆の輸出拡大を、米国産大豆で支えていく」と話した。

続いて米国大使館のクレッグ・エリオット農務官は、「今年は日本と台湾のバイヤーを一堂に集める新たな試みを行っている。日本と台湾には食文化に共通点がある。食用油や揚げ物用途で大豆油が幅広く利用されており、豆腐、豆乳、しょうゆ、みそなど、さまざまな大豆食品が消費されている。米国産大豆が東アジアの豊かな食文化や伝統を支えていることを、大変喜ばしく思っている」と述べた。

〈26年産米国大豆、油分高くたん白質十分な量、高温多雨の紫斑病などの影響は問題ない〉

ミネソタ大学セス・ネイブ教授は、「2026年産米国大豆の品質予測」と題して講演した。調査途中のため詳細な分析はできていないというが、約500サンプルを分析した段階で、「油分が高く、グローバルマーケットに適した作柄だ。たん白質は減るものの十分な量だ」と説明した。なお、サンプル調査は11月半ばにまとまり、12月中旬には第一報を報告できるとした。USSEC日本事務所を通して共有される予定だ。また、9月の高温多雨によって、紫斑粒や種子腐敗などが懸念されるものの、食品用大豆では選別などにより大きな問題はなく、搾油用大豆でも加工品質への影響は限定的との見解を示した。

ミネソタ大学セス・ネイブ教授
ミネソタ大学セス・ネイブ教授

ネイブ教授はまず、今年の米国産大豆が過去最高の生産量に至った経緯を、地域ごとの天候や生育状況から振り返った。それによると、春先の天候が良好で、農家は最適な状態で早い時期から播種作業を進めることができた。特にイリノイ州では4月中に大豆作付面積の約40%で播種が完了したという。

一方、コーンベルト東部のミシガン州やウィスコンシン州の一部では土壌水分が多く、播種開始が遅れた地域もあったとしている。春の土壌水分はコーンベルト西部から中部にかけて平年より少なく、地域によっては50~60mm程度不足していたという。

ところが夏に入ると、コーンベルト西部では乾燥が続き、7月には高温も加わった。一部地域では気温が平年より華氏で5~9度高くなった。この高温によって大豆の生育が早まる一方、土壌水分の不足が深刻化したとしている。合わせて米農務省が毎週公表している作柄評価の変化を示し、ミネソタ州では6月から7月初めにかけて非常に良好な生育状況で、「この25~30年間の大豆の生育で、ベストな状態で完璧な天候だった」と振り返った。ただ、その後は高すぎる気温と降雨もほとんどなかったことで、ミネソタ州の作柄評価は徐々に低下した。一方、アイオワ州では十分な雨が良いタイミングで降り、良好な作柄が続いた。

9月には広い範囲で雨が降り、収穫作業があまり進まなかったという。イリノイ州では大雨の影響が比較的小さかったが、ネブラスカ州、アイオワ州、インディアナ州、オハイオ州では収穫が遅れた。特にアイオワ州では9月に通常の2倍の量の雨が降り、1日しか畑に出られなかったとしている。

今年産大豆の品質面で懸念される問題として、紫斑粒などを挙げた。紫斑粒は大豆の種皮に紫色の着色が生じる病気だ。実への影響は少なく、皮だけに留まることも多い。「食品用大豆は問題になることが少ない。今年は単収も高く、輸出は選別したものを届けられる。選別の技術も高まっており、食品用大豆は大きな問題にならないと考えている」とした。搾油用のバルクは、ロットやどのように調達されるかによって混入する可能性があるというが、着色部分を除去してしまえば、歩留まりや品質への影響は少ないと説明した。

SBOCという大豆の種皮が変色する問題にも触れた。降雨や気温の上昇が要因で、着色の原因は種皮に蓄積したイソフラボンによるものだという。脱皮を行えば問題ないとした。「SBOCは被害粒とは別で、食品用大豆の生産者は問題視していない。食用で考えると、大きな問題ではない。バルクの場合はロットによってはSBOCの大豆が多いかもしれないが、他の地域とブレンドしているので影響は限定的だろう」とした。サンプル調査で寄せられた農家からのコメントの一部も紹介した。ノースダコタ州の農家は、夏の間ほとんど雨が降らず、単収が約 30Bus/Aと、平年の3分の1から半分に低下したと報告しているという。一方、オハイオ州の農家からは、生育期間を通じて天候が非常に良好で、単収が90Bus/Aに達したとの報告があった。

〈米国産大豆ミール、たん白質の品質高い、ショ糖含有量高く飼料原料として強み〉

今年は、米国産大豆ミールの品質についても説明した。大豆ミールの品質を考える上で、たん白質含有率だけでなく、必須アミノ酸、リジン、メチオニンなどの含有量が重要となるという。米国産大豆ミールは、平均的なたん白質含有率は他の産地より低い傾向にあるものの、たん白質の品質は高いといい、「必須アミノ酸が凝縮しているため」と理由を説明した。

必須アミノ酸の含有量が高いことは、必須アミノ酸以外の濃度が下がることになり、「たん白質レベルは若干少なくても、品質レベルがカバーする」とした。

米国産大豆は、ブラジル産よりもショ糖含有率も高い傾向にあるとした。それにより利用可能なエネルギーが多くなり、飼料原料としての米国産大豆ミールの強みになるという。

また、米国の搾油工場は、国内の畜産地域に近い場所に立地している利点もあるという。大豆ミールの品質に問題があれば、飼料栄養の専門家や畜産業者から工場へ直接情報が伝わる。加工業者と利用者の距離が近く、品質に関する情報が直接共有される仕組みになっていることを紹介した。

米国産大豆ミールは品質が安定していることも特徴として挙げた。米国では大豆が生産された地域の近くで搾油されることが多いため、原料大豆の産地が比較的限定され、品質が安定しやすい。一方、アルゼンチンでは、国内産だけでなく、パラグアイなど周辺国から輸入した大豆を加工する場合がある。異なる産地の大豆が混合されることで、原料品質にばらつきが生じやすくなるとしている。

〈大豆油糧日報2026年10月29日付〉

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